皐月賞 2017 重賞レース特集

皐月賞 2017 最新情報！

牡馬クラシックの開幕戦、皐月賞を徹底解剖

皐月賞の歴史や特徴をひもとく

スターダムにのし上がるきっかけとなることも多い皐月賞

皐月賞が創設されたのは1939年。イギリスの2000ギニーを範とし、3歳（当時は数えで年齢を表記していたので4歳）牡馬・牝馬限定の「横浜農林省賞典四歳呼馬」が施行される。今はなき横浜競馬場の芝1850mが舞台となった。

1943年には横浜競馬場の閉鎖に伴い、東京芝1800mに舞台を移す。翌1944年は太平洋戦争の影響で「農商省賞典」という名称で能力検定として行われ、翌年は戦争の激化により中止された。

1947年にはレース名を「農林省賞典」と改称。1949年には中山芝1950mに舞台を移し、名称を「皐月賞」に変更。1950年からは距離が2000ｍとなり、現在に至る。

1995年からは地方競馬所属馬も出走可能となり、2002年からは外国産馬にも門戸が開かれた。2010年からは外国調教馬も出走できるようになった。

一般に皐月賞は「最も速い馬が勝つ」などと称されるが、実際には長距離競走にカテゴライズされる菊花賞と結果がリンクすることも多く、スピード、スタミナ双方が問われるレースと言えそうだ。

牡馬クラシック第1戦という性質上、このレースの勝利がスターダムにのし上がるきっかけとなることも多い。古くはシンザン、トウショウボーイ、シンボリルドルフ、ナリタブライアンなど、近年ではテイエムオペラオー、ディープインパクト、オルフェーヴルらが翌年以降も日本競馬を牽引していった。

トライアル競走に指定されているのは弥生賞、スプリングステークス、若葉ステークス。弥生賞とスプリングステークスは3着以内の馬に、若葉ステークスは2着以内の馬に皐月賞への 優先出走権が与えられる。

中山芝2000mは基本的にスタミナ型が狙い

中山内回りコースを使用し、コーナーを4つ回る。最初のコーナーまでは比較的長い距離があるので、枠順による有利不利は少ない。

皐月賞が行われる4月の中山は、前月から開催が続いていることもあり、芝が荒れていることが多く、時には土埃が舞うことも。ゴール前には高低差2.2mの急坂もあり、長めの距離もこなすだけのスタミナが必要となる。

ただし、2013年皐月賞（ロゴタイプ）のように、近年は速い時計で決着することもあり、そういった年はマイラータイプの台頭も見られる。

2016年皐月賞のレース前予想は｢3強対決｣! 結果は!?

ファンの評価は「3強対決」

1番人気に推されたのは11番サトノダイヤモンド。2013年のセレクトセールにて2億4150万円で落札された同馬は、デビューからその期待に違わぬ活躍を見せた。良血馬が揃ったメイクデビューを0.4秒差で勝利すると、次走2歳500万下も快勝。続くきさらぎ賞（G3）もレプランシュらを全く寄せ付けない競馬で、重賞初勝利を飾り、皐月賞に駒を進めてきた。父はディープインパクト、母マルペンサもアルゼンチンの名牝であり、あと一歩のところでG1勝利に恵まれなかった里見治オーナーの悲願達成なるかに注目が集まった。

2番人気は、わずか1戦のキャリアで朝日杯フューチュリティステークス（G1）を制した16番リオンディーズ。弥生賞（G2）は2着に敗れたが、自在性のある脚質が中山の小回りコースにマッチすると思われた。

3番人気は3番マカヒキ。メイクデビュー、若駒ステークス（OP）、弥生賞の3連勝で皐月賞に挑むのは同馬主所有の父ディープインパクトと同じローテーション。いわば「王道」とも呼ぶべき臨戦課程であり、その能力は高く評価されていた。

以上3頭のオッズはそれぞれ2.7倍、2.8倍、3.7倍。4番人気エアスピネルは16.1倍と大きく水を開けられており、ファンは3強対決と判断したようだ。

ディーマジェスティが皐月賞レコードで勝利

ゲートが開き、まずハナに立ったのは石川裕紀人騎手とリスペクトアース。強い向かい風の吹く中、快調に逃げるが、途中から人気のリオンディーズが掛かり気味に絡み、前半1000mは58.4秒というハイペースになる。サトノダイヤモンドは中団から、マカヒキは後方寄りの位置取りとなった。

やや縦長の隊列のまま直線に入ると、マクリ気味に進出したディーマジェスティが外から脚を伸ばすと、やや脚色が鈍ったリオンディーズに代わり、先頭に立つ。さらに遅れてマカヒキなどが追い込んでくるが、差は詰まらない。結局、2着に1馬身1/4を付け、ディーマジェスティが1分57秒9の皐月賞レコードで勝利。2着にはマカヒキが入り、1番人気サトノダイヤモンドは3着に終わった。なお、4位入線のリオンディーズはエアスピネルの進路を妨害したとして、5着に降着となっている。

蛯名騎手「あとは突き抜けてくれるだろうという感じだった」

ディーマジェスティに騎乗した蛯名正義騎手は「前半から前が飛ばしてくれたし、チャンスがあるならこの展開だと思っていた。坂の上まで万全で来られたので、あとは突き抜けてくれるだろうという感じだった」とお誂え向きの展開となったことを喜んだ。

2着のマカヒキ川田将雅騎手は「予定通りの位置で競馬ができた。4コーナーでも勝ち馬の真後ろから伸びてくれたが、勝ち馬がまだ伸び続けていて強かった」と勝者を称えるコメントを残した。

3着に終わったサトノダイヤモンドのクリストフ・ルメール騎手は「4コーナーの反応はよかったが、直線の坂で甘くなった。久々だったし、次はもっと良くなる」と次走以降の変わり身に期待した。

5着に終わったリオンディーズのミルコ・デムーロ騎手は「掛かったね。今日のレース傾向を見て、後ろからでは届かないと思った。でも前半5ハロン58.4秒は速すぎた」と気性面の課題を口にした。

藤沢厩舎所属馬が席巻しそうな2017年皐月賞

今年は藤沢和雄厩舎が旋風を起こしそうだ。まずは前年暮れの朝日杯フューチュリティステークス（G1）を快勝し、2歳チャンプの座に輝いたサトノアレス。抜け出す時の脚の速さには目を見張るものがあり、文句なしの好内容だった。ただし、走法などからは距離に限界のあるタイプにも映り、2000ｍの舞台設定がどう作用するか気になるところ。

同厩舎のレイデオロも有力候補だ。メイクデビュー、葉牡丹賞を強い内容で勝利し、迎えたホープフルステークス（G2）も後方から鋭く追い込み、無傷の3連勝で2016年シーズンを終えた。この馬のセールスポイントは何と言っても、中山芝2000mの適性だろう。3戦中2戦が皐月賞と同じ中山芝2000mで、いずれも強い内容での勝利。トリッキーなコース形態だけに、その経験値が生きるはずだ。

そしてもう1頭、評価が高いのはシクラメン賞の内容が圧巻だったサトノアーサー。スローペースからレースの上がりが33.5秒という先行馬有利の流れを、中団から差し切った。自身の32.7秒という上がり時計は異次元とも言える数字であり、持てる潜在能力は計り知れない。きさらぎ賞こそ重馬場に泣かされ2着に敗れたが、次走以降のレース内容次第では、この馬を中心に今年のクラシック路線が回っていくことになるかも知れない。