ショートホラーストーリー
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発行者:眸恒平
価格:864円(税込)
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ジャンル:ホラー・オカルト

公開開始日:2010/11/30
最終更新日:2010/11/22 10:26

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ショートホラーストーリー 第1章 「雨」
あの日。
 
 雨が、身体に纏わリつくようにもやもやと降っていた。
 忙しい中、ぼくは彼女と会い、別れを告げた。
 待ち合せの店で、食事をした。
 何もかも承知しているかのように、僕たちは無言でナイフとフォークを動かした。
 彼女のそのときの雰囲気から彼女もそれを予期していたようだと、ぼくは感じた。
 だから、というわけではなかったが、スラスラと別れの台詞が、ぼくの口から出た。
 「僕らはもう会わない方がいいと思うんだ」
 「なんで」
 彼女は判っているくせに、理解できない振りで言葉を返してきた。
 「もう、終わりだと思うんだ」
 「…………」
 「終わりにしよう。いや終わりにしたいんだ」
 「……自分のことだけ。いつもあなたはそうだった。今まで少しでも私の都合を考えてくれたことがなかった。今日もそう」
 「僕のわがままだと君が一方的に責めるのなら、それでもいいよ。とにかくもう一緒にいたくないんだ」
 「他に好きな人ができたから? 具体的にいうと、吉田麻衣。可愛い子ね」
 「そこまで知ってるなら、いいじゃないか。別れたいんだ、君とは」
 「…………」
 「君には僕のような男は合わない。もっと君にぴったりの男を見つけてくれ」
 「…………」
 「じゃあ」
 僕は彼女の返事も待たずに席を立ち、勘定をすませて、店の外に足早に出た。後ろは振り返らなかった。
 アパートに帰りつくまで、雨が僕に纏わリついて離れなかった。きっと雨はあの日の彼女の代わりに僕に纏わリついたのだろう。
 その夜の嫌な気分は、まだ纏わリついたまま数日過ぎた。
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