奪われた従姉の体
第1章 憧れの存在
「ただいまっ!」
「お帰り。先にお風呂に入りなさい」
「分かってるよ。今日のご飯は?」
「焼き魚だけど」
「え~、肉が良かったな。育ち盛りの俺には肉が必要なんだ」
「何言ってるの。昨日、焼肉したじゃないの」
「毎日でも構わないのに」
「そんなにお肉ばかりじゃ栄養が偏るじゃないの。それよりも我が家の家計が破綻するわよ」
何時に無く軽い口調で母親と話し、二階の部屋で汗臭い制服を脱いだ敬雄は「う~ん」と背伸びをした。明日から自分の目標である華奈美と二人きりで練習が出来る。そう思うと、自然に頬が緩んだ。
頬が緩む理由はそれだけではない。
実は敬雄、中学三年生の頃から華奈美に対して密かな恋心を抱いていたのだ。次第に女性らしく変化する従姉の体。小学生の頃は二人で風呂に入ったこともあったが、そのスタイルは明らかに違っていた。
スパイクを打つたびに大きく揺れる胸。時折見える、体操服からこぼれたウェストの細さ。そして、赤い短パンから伸びるほっそりとした長い足。
自分を置いて大人びてゆく華奈美を、女性として――異性として意識せざるを得なかった。しかし、その気持ちは絶対に華奈美に知られてはならない。
二人はいつまでも従姉の関係であり、間違っても恋人にはなれない。そして、今の関係を壊したくない。
それが敬雄の本心だった――。
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