奇跡の絆
第1章 第一章 唐突な出会い
色白の肌に明るすぎない茶髪のロングヘアー、スタイルも良く、モデル、グラビアをやっ
ていますといっても誰も疑わないくらいのレベルだ。そこまで女子に興味のない崇ですら、
(可愛い子だな・・。)
と思わせる魅力的な子だった。しかし、ただ空いているかを聞いただけなのにこのリアク
ションはなんだ?
しかも驚いた表情を崩さず、返答もない。
(なんなんだ、こいつは??)
「あの、この席座っても大丈夫かな?」
念のため今度は少しだけ丁寧に聞いてみた。するとその女子は驚いた表情を崩さずに、
『ど、どうぞ・・。』
と弱弱しく答えた。
(思ったよりアニメ声だな・・。)
「どうも。」
そう言って崇は席に着いた。これ以上はあまり関わらないでおこうと、一応授業の内容を振り返るため、レジュメに目を通すことにした。崇がレジュメに目を通している間も、その女子はチラチラ崇に目線を送ってきた。
(なんなんだ・・?)
あまり気にしないようにしようと無視していたが、
『あ、あのー・・。』
遂に女子が話しかけてきた。
「何?」
『私の声が聞こえるんですか??』
「は!?」
突拍子もない質問に思わず声が大きくなってしまった崇。
『だから、私の声が聞こえるんですか??』
また同じ質問をしてくる女子。一先ず崇は表面上は冷静に対処することにした。
「聞こえてるからこうして会話が成立してるんじゃないのか?」
(やばい・・。変なのに捕まっちまったか・・。やっぱ世の中顔じゃないな・・。)
これ以上変なことを言い出す前に退散しようと思い、席を移動しようとした時、チャイムがなり、試験官が入ってきた。
(遅かったか・・。)
仕方なく崇はその場で試験を受けることにした。
女子も試験官が来てからは話しかけなくなった。
この試験の時間は60分。途中退出は認められていない。
崇はさくさく問題を片付けていき、開始40分で解き終わった。ざっと見直しをし、時間になるまで寝ることにした。
(終わったらさっさと出よう。また絡まれたら面倒だ・・。)
そんなことを考えながら、崇は時間がくるのをひたすら待った。
まだかまだかと思うとそういう時に限ってやけに時間が進むのが遅い気がする。
崇は眠ることができす、時計ばかり目に入った。そして、ようやく試験終了のチャイムがなった。
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