奇跡の絆
奇跡の絆

発行者:神谷 陵人
価格:330円(税込)
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2012/08/09
最終更新日:2012/07/31 18:42

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奇跡の絆 第1章 第一章 唐突な出会い
「どうだった?」

悠樹が分かりやすい表情で当たり前の質問をする。

「ま、まったく分からんかった・・。」

「だろうな。」

崇がニヤニヤしながらタバコを吹かしている。

「まぁマークシートなんだから、奇跡が起こるのを期待しようよ!」

悠樹が軽ーく昇の肩をポンポンと叩く。

「そうだなー。まぁ終わっちまったもんしょうがないよな!」

昇は切り替えが早い。これが彼のいい所でもあり、反省がないという意味ではダメなところでもある。

「崇は次もあるんだっけ?」

「あぁ。日本文学の試験がある。」

「お前よくあんなお堅い講義とるよなー。考えられん。」

昇は大袈裟に首を振ってみせる。

「昇、お前は少し本を読んだ方がいいと思うぞ・・。」

「ジャンプなら毎週欠かさず読んでるぞ!」

ビシッと親指を立てて自身満々の表情を見せる。

「すまん、俺が悪かった・・。んじゃ行ってくるわ!」

「頑張れよー!」

「ラウンジで待ってるからね!」

昇と悠樹がそれぞれ声をかけ、崇は次の試験へと向かった。

崇は日本文学の講義が特別好きなわけではなかった。

単純に単位のためと、まぁ昔から本を読むのが好きだったというただそれだけの理由だ。

この講義は大学中の学生が取っている。その多くが崇のように単位欲しさになんとなく受けている者ばかりだ。

そのため、教室も大学で比較的大きな教室を使用するが、普段の出席率はこの半分にも満たない。

「この授業こんなに取ってるやつがいたのか・・。」

すでに席のほとんどが埋まった状態の教室に入り、崇はあっけにとられた。

知った顔もちらほらいるが、ほとんどが今日始めて見る顔ばかりである。

「さて、どこに座るか・・。」

崇がしばらく席を探していると、丁度真ん中辺りに空いている席を見つけた。

横にはすでに知らない女子が座っていた。念のため、その女子に連れがいないか聞いてみた。

「なぁ、この席空いてる?」

特に問題のないこの質問に、女子は心臓が飛び出るんじゃないかというほどのリアクションを取った。

初めて見る子だったが、かなり可愛らしい子だ。
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