空の上―生き抜いて―
空の上―生き抜いて―

発行者:言葉配達人 あき
価格:1,026円(税込)
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2012/07/11
最終更新日:2012/06/30 16:17

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空の上―生き抜いて― 第1章 つまらない毎日
 トン、トン、トン
由美は、マンションの階段も一段とばしで軽やかに上って行きます。
マンションの二階につくと、
“ポーン”
エレベーターの止まる音です。
「あ、おばちゃん!」
エレベーターの扉が開くと、さっき下で会ったばかりのおばちゃんが、洋服についた水滴をはらいながら、重そうに買い物ぶくろを下げて、エレベーターの中から降りてきました。
「あら、由美ちゃん。また会ったわね」
おばちゃんはくすっと笑うと、階段を上って行こうとする由美に、もう一度声をかけてきました。
「由美ちゃん、エレベーターには乗らないの?」
「うん、階段でいくからいい」
由美はおばちゃんにそう答えると、また一段とばしに階段を上がっていきます。
由美は、せまくて圧迫感のあるエレベーターが嫌いで、ひとりのときはいつも、階段を使うのです。
トン、トン、トン、トン
「ふぅ、着いた。六0三、六0三・・・」
由美は六階まで着くと、ポケットから家のカギを取り出し、家の前へと向かいます。
ガチャッ
「ただいまぁ・・・って誰もいないっか」
ひとりごとを言うと、由美はいつものように、台所のテーブルに置いてある、母のメモ紙に目をやります。

”冷蔵庫におやつと夕飯が入っています。
仕事で遅くなるから、留守番お願いね。
                母”

「はぁ~ぁ。今日のおやつは・・・っと」
由美は小さくため息をつくと、母のメモ紙を机に置き、いつものように冷蔵庫を開けます。
カチャ
「またドーナツかぁ。まぁ、いいや」
由美は、少し大きめの冷えたドーナツを口にくわえると、自分の部屋へと戻って行きました。
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