空の上―生き抜いて―
空の上―生き抜いて―

発行者:言葉配達人 あき
価格:1,026円(税込)
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2012/07/11
最終更新日:2012/06/30 16:17

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空の上―生き抜いて― 第1章 つまらない毎日
 由美のいるこの町は、最近になって、どんどんと高い建物やマンションが建てられています。
かといって、都会でもなく、田舎というわけでもありません。
由美の家も、何年か前に建てられたばかりのマンションの六階です。

 名前は早川由美。この町の有名市立中学に通う、3年生。
両親は“この中学は由美のため”なんて言っているけれど、由美には学歴ばかり気にする両親の考えが、全く理解出来ませんでした。
一人っ子の由美にとって、私立中より両親との時間の方が恋しかったのです。
いつも、夕方、誰もいない家に帰っては“共働きまでして見栄張って、市立になんて行かせてくれなくてもいいのに”なんて、思ってしまうのでした。

 帰り道、マンションの前につくと、同じマンションの二階に住むおばちゃんが、雨の中、急ぎ足で買い物ぶくろを下げて、後ろから由美に声をかけてきました。
「由美ちゃん、おかえりなさい」
「あ、おばちゃん。ただいま。お買物?」
「そう、タ飯の買い物」
そう言いながら、おばちゃんは優しく笑います。
由美も顔見知りのおばちゃんに、にこっと微笑み返すと、トン、トン、トンと軽い足どりでマンションの入口へと入って行きました。

 最近は、ニュースで“となりの家の人の顔もよく分からない”なんて言うけれど、由美の住むこの町は、ニュースで言う“今どき”とはかけはなれたところで、マンションの住人はみんな仲が良く、お互いに声をかけ合う関係が出来上がっていました。
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