月ノ夜
月ノ夜

発行者:宮迫 深月
価格:324円(税込)
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ジャンル:ホラー・オカルト

公開開始日:2012/06/01
最終更新日:2012/05/18 18:42

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月ノ夜 第1章 夕暮れ時 転入生
既に少し言ったと思うが、この頃の私の交友関係は本当に狭く、クラス内に友達と呼べるほどの仲を持った人間なんて、一人も居なかった。

高校生活最後の学年なんだから、と。母に一人くらいは仲の良い友達を作るよう言われたが、そんなの関係ない。私は、一人で居るのが好き。だから一人で居る。

そんな私だ。このクラスになって、最初の頃こそ興味本位やクラス全員と友達になろうなんていう、外交的な人達が沢山話し掛けて来たけど、全部無視した。その効果は抜群。たった数日で、私には誰も話し掛けなくなった。

そのまま一学期は、一人で過ごした。母も、梅雨に入る頃には諦めたらしく、友達を作って……などと言わなくなった。

このまま、卒業まで行くつもりだったのに……篠里アイが転入してきて、私の一人の世界が崩れ始めた。

何度無視しても、篠里アイは私に話し掛けてくる。それがあまりにもしつこくて、篠里アイが転入して一か月が経った頃、私は彼女の言葉に初めて返答した。

その時の篠里アイ……じゃなく、クラスの騒ぎっぷりったら。『無口女が口きいた』って。勝手にあだ名なんかつけないでほしい。とにかく、その騒ぎをきっかけにして、また一学期の始めみたいに私に話し掛けてくるクラスメイトが出てきた。

……全く。高校三年生の二学期って言ったら、もう特定の友達グループが出来て、後はその中で勝手にやっていくものじゃないだろうか。今更そこに、異物としか言えない人間……つまり私を投入して何になる? ただの興味本位なら、本気でやめてほしい。

話し掛けて来ないならともかく、向こうから話し掛けられては無視するのも気力がいる。……結局、私が折れて、話し掛けられたらとりあえずの返答はするようにした。

……今思えば、その頃からだろうか。あの猟奇事件が起き始めたのは。

じゃあきっと、篠里アイが私を追いかけて殺さなかった理由もそこら辺にあるんだろう。

それが、まともな理由だとは思えないけど。私には分かる。彼女は、篠里アイは、

イジョウシャだ。
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