月ノ夜
月ノ夜

発行者:宮迫 深月
価格:330円(税込)
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ジャンル:ホラー・オカルト

公開開始日:2012/06/01
最終更新日:2012/05/18 18:42

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月ノ夜 第1章 夕暮れ時 転入生
……翌朝。佐崎の死体が発見された。場所は、あの自販機の前。

佐崎の身体には無数の刺し傷があったらしいが、直接の死因は、頸動脈を切られた事による失血死だそうだ。ニュースや新聞で得た情報によると、最初に喉を切られて殺され、その上で身体中を刺されたのだという。

つまり、あの時……佐崎の声が止まった時、佐崎の命脈まで止まっていたという事だ。

きっと、あの時佐崎が話していた誰かが犯人だろう。佐崎の身体に隠れて見えなかったという事は、犯人の体格は佐崎より劣っているという事だろうか?

佐崎は、こう言っては何だが男子の中ではひょろい方で、でも流石に女子と比べれば……という感じの体格だった。

そういえば、佐崎の声に混じって聞こえて来たのは、女の声だったなと思ったけど、私はそれを聞き込みに来た警察に言う気には無かった。

だって、面倒だからね。いろいろと。

佐崎が全く警戒せずに話をして、しかも佐崎の身体に隠れるくらいの体格とくれば……多分、私と同年代の女子が犯人だろうし、それに……電話も掛かって来たし。

『話すと、次は貴女よ』

って、一言言って切れちゃった。……あれが、きっと犯人。やっぱり女子の声だった。

私の電話番号を知っていたという事は、ひょっとしてクラスメイトだろうか?

ああ、きっとそうね。なら、佐崎が警戒しなかった理由も分かる。

でも、ここで一つ疑問。電話を掛けてきたという事は、犯人は私があそこに居た事に気付いてたはず。ならどうして、追いかけて私も殺さなかったんだろう?

私がその疑問の答えを知ったのは、次の被害者が出た時だった。
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