月ノ夜
月ノ夜

発行者:宮迫 深月
価格:324円(税込)
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ジャンル:ホラー・オカルト

公開開始日:2012/06/01
最終更新日:2012/05/18 18:42

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月ノ夜 第1章 夕暮れ時 転入生

家を出て、自販機のある所まで小走りに進む。月が出ていないから例の猟奇事件に巻き込まれる事は無いだろうけど、やっぱり夜中の住宅街は静か過ぎるほど静かだから、不気味だ。

遠目に、自販機の明かりを見つけ、私はホッと一息を吐き、小走りから普通の歩きに戻った。

少し近づいて行くと……自販機の前に、誰かが居る。まだかなりの距離があるからよく見えないが、どうやらこの近所に住んでいるクラスメイトの男子みたいだ。

確か……そう、佐崎とかいう名前の。下の名前は知らない。元々私の交友関係は狭かったから、クラスメイトと言っても話した事は殆ど無い。家は確かに近所だけど、ここには私が高校生になるのと同時に越してきたんだから、幼馴染なんかでもない。

まあ、そんな事はどうでもいい。きっと彼も、私のように飲み物を買いに来たんだろう。月が出ていないから、安心して。

そんなどうでも良い考察をしながら、私は立ち止まっていた。佐崎が行ってから行こうと思って。今ここで顔を合わせて、明日学校で話題にでもされたら面倒だ。

佐崎が自販機の下から缶を取り出す仕草が見えたが、立ち去る気配は無い。……どうやら、その場で飲む気のようだ。

もう秋の中頃だから、夜中は少し……いや、結構寒い。だから早く行ってくれないかなと思いつつ、私は佐崎が缶の中身を一気に飲み干す様を遠目に見ていた。

その時、突然強い風が吹いて来た。北風が吹くには、流石に早いはずだけど。

風が止んだ時、辺りがほんのり明るくなった。……まさかと思って空を見上げると、そこには綺麗な上限の月が輝いていた。
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