死刑を求刑された男
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発行者:澤村 輝
価格:330円(税込)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2011/11/07
最終更新日:2012/05/02 18:39

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死刑を求刑された男 第1章 第一章 逮捕
 楠木圭一は
 東京の下町で生まれ育ち、幼少の頃は体が弱く、喘息や湿疹等で悩まされていた。そして、健康に良いと言われているスイミングスクールに通い始めた。
 小学校に入学してからは、喘息などの病気も徐々に良くなり、泳ぎの実力にも自信がつき始めていた。小学校のプールの授業では、同級生の殆どがバタ足を練習している頃、25メートルをバタフライ以外の泳ぎなら完璧に泳げるようになっており、高学年になってからは、毎年行われる”近隣小学校対抗水泳大会”で周りの者達を寄せ付けない好タイムで何度も優勝した。
 因みに、平泳ぎ50メートルの記録は、未だに抜かれておらず大会記録として残っている。
 中学に入学してからも水泳部に入り活躍した。
 同級生達も、目指す進路高校を具体的に絞り始めてきた中学3年の2学期のある日、圭一は顧問の島田先生から職員室に呼ばれた。
 それは、高校進学の話だった。
 高校インターハイで優勝経験のある、全国に名だたる都内の水泳の名門私立高校から、水泳部顧問の牧野先生自らがスカウトに来てくれ、圭一は迷い無くそこの高校でお世話になる事にした。
 この頃から、本気でオリンピックに出る事を目標とし真剣に泳ぎに取り組み始めた。
 朝練から始まり、授業が終わり直ぐに夕方の部活。夜は筋肉を付ける為のトレーニング。
 正直これ程まできついとは思っていなかったが、先輩達からこき使われる一年間も何とか我慢し、競技に集中出来る立場になった。
 だが、高校の3年間ではあと少しのところで、不運もあったが、予選大会で好タイムを出すことが出来ず、満足の行く結果は出せなかった。
 しかし、部活動を3年間一生懸命行った事を認めてもらい、進路先に困ることは無かった。
 牧野先生からは、大学にいって水泳を続けるように進められ、推薦で入学できる話まで頂いていたが就職することを望んだ。
 そして今現在、一部上場されているスポーツメーカーの企業に就職し、充実した生活を送っていた。
 この日は特に暑い夏だった。
 学生の頃だったら、夏休みもそろそろ終盤を向かえ、憂鬱になってくる、八月最後の週の出来事だった。
 最近は重要な仕事も任されるようになり、上司の信頼を受け、後輩からも自分では頼りにされていると感じ、気力も体力も充実し、順調に暮らしていた。そんな矢先の逮捕劇だった。
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