馬券ジャンキー達の週末~リアルタイム競馬予想談議
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発行者:前田 敦彦

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ジャンル:競馬
タグ:競馬

公開開始日:2013/04/10
最終更新日:2013/04/21 01:26


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No.1縁あって集まった競馬ジャンキー達
2013/04/12 01:23:10
カテゴリー: 未設定

 俺が初めてこの店を訪れたのは仕事の関係で足立区に越して来てすぐの頃だから、2006年辺りだろうか。

入口の縄暖簾と店構えに惹かれて入ってみると俺と同世代くらいのご主人と奥様がやっている店らしく、客はカウンターの隅で日本酒を飲んでいる初老の男性が一人だけ。軽く何か食べて一杯だけ飲んで帰ろうと考えているとご主人と初老の男性の会話が聞こえてきた。

「今年の皐月は荒れそうだな。」と初老の男性が言う。その「皐月」というフレーズに俺のアンテナがピクッと反応し、「でもフサイチの馬が軸でいいんじゃないの?」とご主人が答えた所で「今週の皐月賞の話ですか?」とついつい口を挟んでしまった。 すると何の抵抗も無く「そうだよ、あんたはどう思う?」と初老の男性がすぐさま返してきた。

 それからあーだ、こーだと予想談議が始まり、もつれにもつれ、結論は俺は本命がドリームパスポートで、初老の男性は「荒れると言ってもそこまでじゃねえ。」と言ってメイショウサムソン、ご主人は「フサイチのジャンクとリシャールのどっちかだね。」と誰もが譲らずバラバラの見解になり御開きとなった。


 すでに7年前、第66回皐月賞の話である。

気付いた方もいるだろうが、この年は1着メイショウサムソン、2着ドリームパスポート、3着フサイチジャンクで馬連139倍、3連単は27万馬券となり、3人の本命をBOX買いするだけで簡単に的中出来ていたのである。

これにはさすがに驚き、武豊のアドマイヤムーンと2頭で勝負し惜敗した俺は悔しさを抱えながら、週明けの夜に小料理屋「H」の縄暖簾をくぐった。

すると「おお、待ってたよ。」とこの前と同じ風景の中にいた二人に声を掛けられた。「取ったか?」と聞かれ首を横に振ると初老の男性は笑いながら「あんたがドリームパスポートを強く推すもんだから押さえておいて良かったよ。今日は奢るよ。」と上機嫌だった。

 仕事でも自分の意見が通る事は少ないのに、こんな所に俺の考えに共感してくれた人がいてくれた事が妙に嬉しかった。

 それ以来、週末になるとこの店で、他では語れない競馬談議を交わす事がささやかな楽しみになっている。




 いつもカウンターの隅が指定席の初老の男性は、お決まりの競馬新聞を片手に赤ペンで馬の名前を囲んだり、バッテン印をつけたりする昭和スタイルといった感じの昔ながらの競馬オヤジだ。 まさに昭和を彩った名馬達と共に生きてきたようなオヤジなので昔話になるとやたら長いのが玉にキズ。 予想は新聞の予想家たちの印を重視しているようだが第六感が鋭いというか、変わった事を言うもんだな・・・と思うとそれがズバリ的中していたり不思議な感性の持ち主でもある。ここでは赤ペンオヤジと呼ばせてもらう。


 この店の大将「K」さんはデータ重視の馬券で的中率はなかなかのものである。しかし俺からしてみれば「堅過ぎて面白みのない馬券」となってしまう。「当ててこそ競馬、いくらの配当かではなく、いくら買うかの問題だ」と口癖のように繰り返し、穴党と言っている俺に考えを改めた方がいいと言ってくる。 尋ねた事はないが話を聞いているとやはり俺と同世代のようで競馬を始めたのは「オグリキャップの影響」と語っている。俺は馬連が登場した辺りから始めたのでオグリの少し後のトウカイテイオーやメジロマックイーン世代ではあるが、大将が話す「あの頃は・・・」で始まる話はわからない事がないので年齢的には同世代だと確信している。


 そして大将より少し若い女将さんは、当然大将の奥さまなのだが、こんな環境に置かれ、興味はないと言いながらもたまに競馬談議に入って来る事がある。予想と言うよりお遊びというかオカルトというか、そういったネタで熱くなった競馬談議を冷静なラインに戻してくれる役割を担っている。なんでもマンハッタンカフェとアメリカンボスで決まったアメリカ同時多発テロの年の有馬記念の馬連を1点で仕留めた経験の持ち主でもあり、なかなか侮れない。しかもその時から江田照には一目置いているようで昨年の日経賞でも一人だけ「ネコパンチでいいじゃない」と言っていたお方である。


 しばらくはこんな面子でワイワイやっていたのだが、ここに歳の離れた若造が入ってきてからは全員の競馬観を見直さなければこの先やっていけないのではないかという危機感に襲われるようになり、この茶髪小僧を加えた4人で競馬談議を展開する事になったのである。
 茶髪小僧がこの店に初めてやって来たのは、おそらく仕事帰りに仲間と一緒に居酒屋か何かと間違えて入ってきたという理由があったのだろう。とにかくうるさい連中だったし、俺の中では「静かに飲んで競馬について語り合う隠れ家」という存在の店だったので場違いな連中というイメージでしかなかったのだが、いつものように競馬談議を交わしていると「俺にもその話聞かせてくださいよ。」とさっきまで大騒ぎしていた連中の茶髪小僧が一人、割って入ってきた。

 ちょうどその頃の中央競馬はディープインパクト一色で、ついに凱旋門賞に挑戦する日が近づいて来た頃だったので「H」に集まる馬券ジャンキー達の話題もその事で持ちきりといった日々が続いていた。


 「でもディープじゃ凱旋門は勝てないッスよ、間違いなく負けますよ。」


 俺や大将どころか赤ペンのオヤジまでもが今までで一番強い馬と認め、ついに日本の馬が凱旋門賞を勝つ日がやって来たかとさえ思っていたところに、その風貌から嫌がらせか喧嘩でも売ってるのかとさえ思える「暴言」が茶髪小僧の口から飛び出した。しかも馬場適性だの血統だのと今までこの店に集まる馬券ジャンキー達があまり重視していなかった事を取り上げ、ちゃんとした理由があって言ってるんだと自信満々に語っている。
 
 それでも誰もがディープが負ける事はないと思っていたので酔っ払った若造の戯言としか受け止めていなかったのだが・・・結果はご存知の通り。


 そして何日かが過ぎた頃、縄暖簾をくぐって来る若者の姿があった。頭を短く刈り、変な模様が入った奇抜な髪型になっていたが間違いなくあの茶髪小僧だった。


 「ね、ディープは負けたでしょ、俺が言った通りじゃん。」


 ・・・と憎めない笑顔を振りまきながら、持論を語り始めたのだが、仕事仲間は競馬より毎日のように遊べるパチンコやスロットにハマッている者ばかりで競馬の話が出来る仲間がいたらいいなと常日頃から思っていたという茶髪小僧(髪型が変わってもあだ名は変わらない)。

 「俺たちも似たようなもんだ」と言って赤ペンオヤジが茶髪小僧の仲間入りを許可したように思えた。 



 そんな連中が「H」で毎週末繰り広げている競馬予想談義を2013年の皐月賞を皮切りに中央競馬前日予想という形でお届けいたしますので、お楽しみに。
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