セーラー服好きの彼
第2章 彼を誘惑!
白い半袖に、紺色の襟元には白いストライプが二本。その襟元には赤いスカーフがついている。セーラー服を着て外出するなんて、とても懐かしい感じ。七年前まではセーラー服が普段着のようなものだったのだから。
それに、千夏の髪から漂うリンスの香り。いつもなら香水を付けて出社する明菜にとって、リンスの香りだけが体から発するというのは新鮮でもあった。
俯くと、セーラー服を盛り上げる二つの胸。歩くたびに揺れる乳房の感じからして、もしかしたら明菜よりも大きいかもしれない。別に妹に嫉妬するわけではないが、大きな胸が好きな真二が見たらどう思うだろう?
千夏と真二は全くの初対面ではない。真二が明菜の家に来た時に、たまたま顔を合わせた事があった。その時、千夏は私服だったため、セーラー服姿の千夏と顔を合わせても覚えていないかもしれない。
「真二、私の姿を見てどんな顔するかしら?少しからかってみようかな」
デートをする約束はしていたものの、千夏の体を借りているとは言っていない。いきなり目の前に千夏が現れたらどんな対応をするだろうか?
明菜は真二の行動に少し興味があった。
「うふふ。最初は秘密にして合おうかな」
千夏の顔でクスッと笑った明菜は、ポーチの財布から自分の定期を取り出し改札口に通すと、快速と普通電車を乗り継いで真二が待っている駅に辿り着いた。
ちょうど駅前にある噴水が、車を持っていない二人がいつも利用する待ち合わせ場所なのだ。
「いたいた。クスッ、どんな反応するのかしら」
噴水の向こう側に、白い半袖ポロシャツと青いジーンズを穿いた真二の立ち姿が見える。明菜は千夏が穿いている紺のプリーツスカートの裾を揺らしながら、気づかない真二に近づき、声を掛けた。
「ねえ、お兄さん?」
「えっ、俺?」
振り向くと、セーラー服を着た可愛い女子高生の姿。真二は一瞬戸惑った。
「うん。ここで何してるの?」
「あ、ああ。人と待ち合わせをしているんだ」
「ふ~ん。待ち合わせって誰と?」
「えっ。べ、別に君に話す必要はないだろ」
「いいじゃない、教えてくれたって」
「どうしてさ」
「私、暇なんだ。だからお兄さんに遊びに連れて行って欲しいな」
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