淫獣の檻
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発行者:夏樹総
価格:章別決済
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2011/08/07
最終更新日:2011/09/12 22:41

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淫獣の檻 第2章 襲い掛かるモノ
『醜い者は生きていてはいけないのか?命の優劣を何で決めるのだ、誰がそれを判断するのか教えてくれないか』

 男は嘲笑った。
『貴女の愛するヴルガリスは確かに美しい男だった。貴女が輝ける太陽なら、彼は夜の月。銀糸の髪、神もかくやの麗しき容貌。蕩ける様な歌声でさぞ貴女の心を慰めただろう・・・・・・慰めたのは心ばかりではないようだが』
『黙れ、ハイデ!貴様の下らぬ繰言など聞いている暇はない!!』

 女は激昂して叫ぶ。

 ハイデと呼ばれた男はなおも声高に嘲笑った。
芝居がかった仕草で男は哂い、指を鳴らした。すると化け物が身に着けていた鎧が糸が切れたように剥がれ落ちた。

 何故かその当りから美咲の耳には『声』が言葉として聞こえるようになっていた。

 無論、少しばかり分かる英語ではなく、美咲が知るどの国の言葉でもない。

 化け物のくちゃくちゃという咀嚼音や、口腔か鼻息から漏れ出るような耳障りな音はそのままだ。

『キリアリス、貴女がずっと清らかなままでいてくださったなら、貴女がその心に誰を想おうと私は耐える事ができた。名ばかりの婚約者の地位に甘んじている事も苦ではなかった。だがあの男は貴女の寵を嵩に、壮大な夢物語を描きたかったようだ。・・・私を殺して貴女を妻にし貴女の王国を手中に収めようと』
『だまれ、黙れ黙れ、聞くに堪えぬ。一体何に毒されたのだ?おまえが私の婚約者であるならさっさと私を解放しろ、早く!!』

 キリアリスは怒りに震え、ハイデを睨みつけた。今この場に自分を解放してくれる者がこの男しかいなくても、今の発言は彼女には到底許せるものではなかった。

 ヴルガリス。誰よりも強く、美しい男。

 そして孤独な王座に立つ自分に愛を教えてくれた優しい男。

 ・・・確かにキリアリスは女王として過ちを犯した。愛してはいけない男を愛し処女を捧げた。

 だが一人の女として望み得る最高のものを勝ち得た。

 自分を愛し、守り、支えてくれる盾とも剣ともなる男を。

『恋は盲目とは、云ったものだ。貴女は素晴らしいひとだったのに、あの男が、貴女を狂わせた』

 ハイデは肩から羽織ったマントを取ると、歩みを進めた。
 
 彼の仕える女王キリアリスに向かう・・・のではなく、名も知らぬ少女の方へ。
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