淫獣の檻
第2章 襲い掛かるモノ
ハイデは少女を見下ろした。
彼の顔の顎の高さに丁度手枷を嵌められ吊るされた少女の繊細な指先がある。
艶々とした淡い花の色をした小さな爪。
手枷を嵌められた周囲の肌は擦れて赤くなっている。
眼が合った訳でもなくただ見下ろされただけで美咲の身体は竦み上がり、今の格好を思い起こさせられた瞬間その肌は長く湯に浸かった時のように赤く染まった。
羞恥心から少しでも曝け出された身体を隠そうと、美咲は両肘を寄せ、男の視線から逃れようと身を捩り俯いた。
『可哀想に、だが私ではおまえを解放してやる事は出来ない』
ほら、と男が指を鳴らす。
美咲の身体を覆っていた僅かな下着が雪のようにひらりと舞い落ち、足元に降り積もる。
『私の魔法ではおまえの手枷を壊す事が出来ない』
「・・ひっ・・・」
声にならぬ悲鳴を美咲はあげた。身体が勝手に震える。
美咲の手首の枷と鎖がカチカチと音を鳴らす。
黒皮に包まれた長い指が美咲の頤を捉え、同じ手の親指がゆっくりと唇をなぞる。
その指はゆっくりと線を引くように美咲の身体の中心を辿り、両足の付け根で止まる。
恥部を隠す黒く濃い茂みをハイデの指は優しく掻き分けた。
そして誰にも触れられた事のない美咲の大切な場所・・・・・・淡い色の花唇と包皮に包まれた小さな真珠のような花芯を捏ねるように愛撫した。
美咲は悲鳴をあげようとしたが声がでず、反射的に涙が溢れ、腰を捩り必死に脚を閉じようともがいた。
だが男の指は執拗に花芯に触れ、まるで貴重な宝石に触れるように優しく擦りあげる。
「・・・・やっ・・・・ん・・・やだぁっ・・・」
圧倒的な体格差と、何より手枷で拘束され繋がれた状態では何処にも逃げ道などなかった。
それでも美咲は必死に抵抗した。
『抗えぬそんな年端もいかぬ娘に下劣な真似を!ハイデ、根性まで腐り果てたか!?』
キリアリスは叫び、怒りを込めて手枷を打ち鳴らす。
下種と蔑み罵りはしたが、かって自分に仕えまた婚約者でもあった男が、自分の眼前で無力な少女に狼藉を働こうとしているのだ。
黒髪の少女はハイデの腕の中に抱きこまれ、恐怖に震えながら涙を流している。
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