松川村ペンション殺人事件
第2章 魅花と麗子
「ね? みんなで行こうよ」
「……」
追いかけっこはすんだようである。
我を失い周りが見えなくなって魅花だが、我を取り戻した時、周りの視線が痛かった。
顔をぷくーっと膨らませている魅花。夏樹と一緒に旅行へ出かけようと考えていたのに
麗子の策略で台無しになってしまった。
先ほど、魅花に追いかけられている間に、麗子は自分の携帯で友人である鈴原章吾に連絡を入れ、夏樹と魅花がペンションに泊まりに行くことを告げしまった。
ノリが良い鈴原が断るわけがない。
「みんなで行ったほうが楽しいって! ね!」
「(麗子の奴、絶対邪魔してる……麗子も夏樹のこと好きなのよね……嫌だなぁ……夏樹をとられたくない……)」
「(……ごめんね魅花……私も夏樹のことが……)」
「ん? 何か言った麗子」
「ううん何でも無いわよ」
「(どっちが夏樹を手に入れるか……勝負しようじゃない魅花)」
「はぁー……じゃあ私予約しておくから、後で連絡するね」
「うん! サンキュー魅花ちゃん!」
「え…?」
辺りをキョロキョロと見回す麗子。
「……どうしたの?」
「……い、いや……何か……」
「え……何?」
「……何だか誰かに見られてるような……」
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