暗黒神話①
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:ホラー・オカルト
シリーズ:クトゥルー奇譚

公開開始日:2011/08/04
最終更新日:---

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暗黒神話① 第5章 闇で企む者②
 ややよろめきながら歩いて行く牧谷を見送りながら考える。
 ――本当にそうか? 疲れているぐらいであんな常軌を逸した痙攣が起こるものなのか? 確かに白昼夢とか、てんかん等は実在する症例だ。だが残像が残るほどの痙攣など常識では考えられない。一体牧谷の身に何が起こったのだ? ――

 昼休みが終わろうとする頃、牧谷が早退するのを見送り教室に戻った枝松のもとに隣のクラスで「ゴシップ係」とあだ名される野崎がやってきた。色々とヤバいネタを書きとめているいるとされる彼の手帳を巡って、教師達とPTAが暗躍していると言う噂もある。

「牧谷は早退?」
「ああ、調子が悪いみたいなんだ」
「そうかぁ、聞きたかったんだがな。教会の事」
「教会? なんだ、この辺りにもとうとうキリスト教がやって来るのか?」
「ソレは教会堂。本来は『宗教集団』ぐらいの意味なんだぜ? まぁ教会が所有する建物も『教会』って呼ぶみたいだけど」
「へぇ~、ソレは知らんかった。で、ソレが牧谷と何の繋がりが?」
「ああ、今K村で大掛かりな建築工事してるだろ? 『星の智慧派教会』って宗教の施設らしいんだけど、ソレのスポンサーが……」
「牧谷んトコ?」
「その通り」

 野崎がぐっと親指を突き出しながらウインクする。

「ふ~ん……じゃ、帰りに見舞いに行くから聞いてみるよ。知ってるかどうかは分からないけどな」
「おお!! 宜しく頼む!!」

 都合のいい事を言いながら立ち去る野崎を目で追いながら、枝松は内心で肩を落としていた。代々続く資産家である牧谷邸は枝松に拭い難い劣等感を与えるのだ。軽く300坪はありそうな敷地。高級木材を惜しげも無く使った重厚な数寄屋造りの屋敷と調度品。住み込みの使用人が手入れをする庭の片隅にある土蔵。
 どれもこれも枝松にとっては物語の中にしか有り得ないものだった。そんな邸宅を一人で訪ねるのは単身異次元空間に乗り込む様なものだったが、先刻目の当たりにした牧谷の異常な痙攣が気になって仕方が無い。そこから来る使命感が枝松の背中を押し、授業が終わるやすぐさま牧谷邸に向けて歩き出した。



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