暗黒神話①
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:ホラー・オカルト
シリーズ:クトゥルー奇譚

公開開始日:2011/08/04
最終更新日:---

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暗黒神話① 第5章 闇で企む者②
 自分一人ではどうにも出来ない。だがココからでは誰かに応援を頼んでも皆に声が届きにくい。誰かを呼びに行くしかないが、こんな状態の牧谷を一人残して大丈夫なのか? 
 枝松が逡巡している間に痙攣は徐々に断続的になり、20秒ぐらい経った頃だろうか――枝松にとっては途轍もなく長い時間に感じられたが――牧谷の動きが止まった。座ったまま頭を垂れ、完全に脱力した状態だ。

「お、おい……牧谷。大丈夫か?」

 答えは無い。緊張感に満ちた沈黙が周囲を支配する。耐えられなくなった枝松が再び声をかけようとした時、牧谷が目を開いた。

「やった……やってのけたぞ。やはりそうだ、あの輝くトラペゾヘドロンが放つ闇の波動を取り込み上乗せしなければ私には出来んのだ……。アレさえあれば奴の助力など……」

あ あ、そう呟く牧谷の顔。人間の顔がこうも歪むものなのだろうか? 確かに顔立ちは牧谷のものだ。だがその表情。まるで極上の魂を見つけ、ソレを堕落させる喜びに浸る悪魔を彷彿させる非人間的な笑み。

「おい……どうしたんだ? 牧谷」

 ハッとして枝松をみるや目を閉じ小さな声で何かブツブツと呟く牧谷。すると再び残像が残るほどの痙攣が始まり――終わった。ぐったりとした様子の牧谷が周りを見渡す。

「ここは……そうか、学校だ。僕はどうしたんだ?」
「こっちが聞きたいよ。何も覚えてないのか?」
「覚えて無いというより、何も見えなかったんだ。君の話を聞いていると急に気が遠くなって……まるで意識が体から引き剥がされるような感じがして。気が付いたら真っ暗やみの中にいたんだ。そう、椅子に座っていた。テーブルもあったように思う。両腕が何かに乗っていたから。妙に湿っぽくてカビ臭いニオイがしたな。なんだかよく分からないよ」
「分かる方がどうかしてるよ。きっと疲れてるんだ、今日は早退して病院に言った方がイイ。駅前のM病院にでも行けよ、なんなら付き添いしてやるぞ?」
「よせよ、子供じゃあるまいし。だが忠告は聞いておくよ、ありがとう。担任に言って来る」
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