暗黒神話①
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:ホラー・オカルト
シリーズ:クトゥルー奇譚

公開開始日:2011/08/04
最終更新日:---

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暗黒神話① 第4章 闇で企む者
 牧谷家は昔、O藩城主を相手にした商いで財を成した家系である。当然の様に様々な人々が出入りする。中には異様な風体の者も散見されるという話である。そんな中の誰かに吹き込まれたのか、或いは別目的で牧谷家を訪れた者からたまたま話を聞いたのかは分からないが、牧谷正明は差別や世の中の不平等を無くす事に情熱を傾ける様になって行った。高校1年生の秋頃の事だった。

「皮肉な事に何不自由無く育った牧谷が富の偏在を無くすべきだと主張し、貧しい家庭に生まれた私がソレを不可能だと反論したのだよ。コレこそが世の中の不条理を象徴しているだろう?」

 言葉も無い京子。仕方ないのかも知れない。彼女には想像もつかない生々しい情熱のぶつかり合い。
 いくら時代が違うとはいえ、本当に自分達と同年代の高校生の話なのだろうか?確かに自分も魔道書の研究と言う普通ではあり得ない事に没頭しているが、枝松の話は現実世界に根ざしているだけに圧倒的なリアリティがあった。それに比べると本当にやっているとは言え、魔道書の研究は虚構の世界の事なのではないかと自分で疑う瞬間さえあった。

「私と牧谷は暇さえあれば議論していた。同じクラスだったしね。お互いにどうしても譲れない部分があったから、余計に対立していた。牧谷は理想を、私は立身出世という夢を守らなければならなかった。彼の言う万人平等の世界になってしまっては出世などあり得ないからね。持たざる者が大半を占める世界で富を平等に分配すれば、皆が平等に貧しくなるのは目に見えている。それでは私は最初から最後まで貧しいままではないか。少しぐらいいい目を見させて欲しい。それが人間ではないか?万人平等と言う理想は確かに素晴らしい。だがソレは皆が等しく豊かにならねば意味が無い。何故ならその世界では努力や成功は認められないのだから」

 京子は何も言えなかった。今までそんな事―理想の社会など考えた事も無かったのだ。翻って今の学生達はどうだろう? 考えているのは遊ぶ事、就職の事や恋愛の悩みばかりではないのか?いや、皆が皆そんなワケは無い。スポーツや勉強、ボランティアや芸術に熱中している若者も数多くいる。自分は旧支配者の事ばかりだが。


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