暗黒神話①
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:ホラー・オカルト
シリーズ:クトゥルー奇譚

公開開始日:2011/08/04
最終更新日:---

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暗黒神話① 第4章 闇で企む者
 屈託無く笑う枝松に京子は親近感を感じながら応じた。

「いえ、御立派です。私も見習わない。」
「いや見習うべき人物は私などではないよ。そして私は奨学金のおかげで高校に行けた。 このS高校にね」
「ええ!? 教頭先生はここのOBでいらしたんですか!?」
「そうだよ。そして私はここで運命の出会いと別れを経験をしたのだ。無二の親友との……ね」

 枝松は遠い目をしながら語るのだった。遠い日の恐ろしく、そして奇妙な日々の事を。



 1969年4月。枝松少年は奨学金制度のおかげで県立S高校に入学できた。学力は文句の付けどころが無かったが、問題は学費だったのだ。明治24年に私塾として始まったこのS高校は当時から進学校として知られていた。
 歴史が古いだけにいわゆる「学校の怪談」も多かったが、やはり実績が物を言うのはいつの世も同じだ。立身出世を目指す枝松少年が選ぶのも当然と言えた。
 そして希望と野望を胸に抱いた枝松は、入学初日に自分と正反対の少年と同級生として出会う。地元では有名な資産家・牧谷(まきや)家の長男正明(まさあき)である。何不自由無く育って来た彼は枝松にとっては羨望と嫉妬の対象だった。

「恥ずかしい話だがね、当初は彼に対する嫉妬から彼に反発――いや、理不尽な憎しみさえ抱いていたのだよ。我ながら情けない限りだ」
「いいえ、それは仕方ないと思います。私だってそんな生まれながらのお金持ちって人を目の前にしたら……羨むか媚びるかするかも知れません」
「君ならそんな事はあるまい。目を見ればわかるよ、それだけの経験は積んで来たつもりだ」

 枝松は穏やかにほほ笑みながら、柔らかい口調で話しかける。それがこの人を信頼させるのだろう。京子はそんな事を考えながら聞いていた。

「牧谷は経済力からでは無く、自らの人柄と能力とで人望を得ていた。私がそれに気付くのが遅れたのは愚かな偏見と嫉妬からだが……加えて大した情熱と弁舌の持ち主だった。君は学生運動というものを聞いた事はあるかね?」
「……たしか東大とかをバリケードで封鎖したりしたアレですか?」
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