暗黒神話①
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:ホラー・オカルト
シリーズ:クトゥルー奇譚

公開開始日:2011/08/04
最終更新日:---

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暗黒神話① 第4章 闇で企む者
「やぁ倉科君……だったね。いつも熱心でいい事だ」
「あ……教頭先生。こんにちは」
 京子は「マズイ!」と言う顔でエイボンの書を閉じながら一礼した。やはり受験生が魔道書を熱心に読んでいると教頭に知られるのは幾ら何でもマズ過ぎる。
 その表情から察したのだろう、京子の正面の椅子に座りながら語りかけた。

「いや、気にする事は無い。若者が何かを研究するのは良い事だし、何を隠そうそのエイボンの書は私が製本して寄贈したものなのだよ」
「ええっ!? 教頭先生が?」
「ああ、巻末の奥付を見てみたまえ」

 奥付を見てみると確かに「1974年 枝松雄一 製本・寄贈」となっていた。

「どうして教頭先生がコレを?」

 当然の疑問に枝松は笑顔で答えた。

「話せば長くなるが……時間はいいかね?」
「はい」
「うむ。実は私は地元の生まれだが、家庭は貧しくてね。早くに父を無くしてしまったのだよ。父は戦争には行かなくて済んだが、まぁ激動の時代というやつでね」
「そうでしたか……」
「そんな私に希望を与えたのが福沢諭吉が著した『学問のススメ』だった」
「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らずのアレですね」

 京子は参考書で読んだ事をそのまま口にしてしまった。

「ふむ。どうやら読んだ事はなさそうだね」
「え……分かるんですか? って言うか違うんですか?」
「教師の務めだ、説明しておこう。正確には『天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らすと言われているが実際は違うではないか』と続いているのだよ。『現実には人の上に立つ者がいれば人の下に付く者がいる。支配する者と支配される者がいる。その差は学問の有無から来るのだ』としている。万人平等を語ったものではないのだ。だからタイトルも『学問のススメ』なのだよ」
「スイマセン。不勉強でした」 

 恥じ入る京子に枝松は

「いや謝る必要など無い。学校でもきちんと教えないからね。で、私はソレを小学校の図書室で読み、感銘を受けた。この貧しい境遇から抜け出すには学問を身に付けるしかないのだとね。そしてひたすら学問に打ち込んだ。本など買っては貰えなかったので学校でね。担任の先生にもかなり迷惑をかけた事と思うよ」
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