暗黒神話①
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発行者:秋月乱丸
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ジャンル:ホラー・オカルト
シリーズ:クトゥルー奇譚

公開開始日:2011/08/04
最終更新日:---

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暗黒神話① 第4章 闇で企む者
 O県S市にある県立S高校。その図書室の片隅に倉科京子(くらしなきょうこ)は居た。テーブルには数冊の本が積み上げられていた。いずれも古びた黒革張りの装丁が施されている。金文字で書かれた書名を見ると「無名祭祀書」「エイボンの書」「セラエノ断章」「ナコト書本」「屍食教典儀」「ルルイエ異本」等の文字が並ぶ。
 人格を疑われかねない様なタイトルもあるが、彼女は全く気にした様子も無い。2011年4月に高校3年生になった京子は、平均的な体形だが同級生達よりもやや女らしさを感じさせる雰囲気を纏っている。いわゆる「色気」では無く「女らしさ」だ。そのせいか男子に隠れファンがいるという噂もある。
 色気のある女の子は同性に嫌われるものだが、彼女にはそれは無かった。あまり目立たないキャラクターのおかげと言えるかも知れない。友達は多くない方だし、男子と気さくに付き合う方でも無い「大人しいタイプ」の女の子。
 1年前の同時期に幼馴染の長田智之(ながたともゆき)を奇怪な事件(「夢に現れたもの」のエピソード)で亡くして以来、この図書室でこれらの本を読み漁る様になっていた。このいわゆる「魔道書」の類は貸出禁止になっている為だ。
  何故普通の高校にこんな本――個人による書き写しを製本したものだが――が有るのかは不明だ。敢えて推測するのならば、このS市という土地柄に関係があるのかも知れない。
 ここは旧石器時代から縄文時代・弥生時代の遺跡も多々ある事で知られている。特に西部では道路工事などで少し掘ればすぐに遺跡が出て来るので、なかなか工事が進まないという始末だ。
そ んな地域では古い因習やしきたり、古代から続く言い伝え等も多いし、人々の想像力を刺激する様な、奇怪な出来事も多かろう。それらに関する研究の為に、こういった魔道書が集められたのかも知れない。
 京子が「エイボンの書」を読み耽っていると教頭の枝松雄一がやって来た。彼はよく校内を見て回り、生徒達とも気軽に話すので校長よりも存在感があると評判である。
 だが定年も近く校長に出世する見込みはもう無い。彼に校長をやって欲しいとの声も大きいが、周囲のそんな声も本人は全く気にしていない。ただ一つ奇妙なのは彼が教師になって以来、ただの一度もこのS高校を離れた事が無いと言う点だった。
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