DEAREST -another story-
第2章 In the forest:幸せに潜む影
真っ暗な闇の中から、ごつごつと、まるで岩のような腕が伸びてくる。
人間の腕なのに、それは何処までも伸びてシルエを捕らえようと追ってきた。
いくら振り払っても追い縋って来る腕は払うたびに数を増し、彼女を捕らえようと四方から伸びてくる。
そんなものに無力な自分が敵うはずもなく、とうとうシルエは力尽きて手の一つに捕らえられた。
ぐんっと身体が後方に引っ張られ、そのまま勢いをつけて地面に転がる。
彼女が動きを止めた途端、次々と伸びてきた腕が細い身体に絡みついた。
「…ぅ…ぐっ……い、やっ……」
脚に、胴に、首に、同じ形をした腕が絡みつく。
シルエが完全に動けなくなった瞬間、身を引き裂くような衝撃が彼女を貫いた。
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