DEAREST -another story-
第6章 闇の記憶 1 *残酷な描写があります
「おい、化け物。」
「…」
「命だけは助けてやってもいいぜ。」
所詮口から出任せ。先ほど売ると言っていた口で紡がれることなど、信じるに値しないことは解っていた。
売られる先は吸血族の血肉を欲する人間の下。ならば結局シルエに待っているのは死なのだ。
しかし、彼女はここで死ぬわけには行かない。何としても生き延びて、弟を守りこの命を紡がねばならない。
一瞬ぎゅっと腕に力を入れたシルエが、僅かに顔を上げて薄っすらと目を開いた。
ちらりとずらした視線の先には真っ赤な母の亡骸。
「…たすけて…くれるの?」
「あぁ、てめぇが俺らの言うこと、ちゃーんと聞けたらな。」
「…言うこと、きいたら…逃がしてくれる?」
「あぁ、いいぜ?言うこと聞いたら、な。」
男の言葉に、残る二人が嘲るような声で笑う。
シルエはそれに気づかないふりをしながらのろのろと身体を仰向けにずらした。
「…何をすればいいの?」
「ははっいい子だ。まずは脚を開け。」
シルエのキレイな眉が僅かに歪む。彼女は僅かに躊躇したが、小さく息を吐き出すと、ゆっくりと脚を開いた。
脚の間に挟まっていた衣服の残骸が、するりとテーブルに落ちる。
「おら、手もどけろ。」
「…っ!」
真横から伸びてきた手がシルエの両腕を捕らえ、そのままぐいっとテーブルに縫い付けられた。彼女の大きな胸が僅かに揺れて露になる。
羞恥のためか、目元を真っ赤に染めたシルエが全てを諦めるように顔を背けた。
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