DEAREST -another story-
第6章 闇の記憶 1 *残酷な描写があります
弾かれたように身を起こし、母のもとへ駆け寄ろうとしたシルエを、男二人が押し留める。
太い腕の間から必死に手を伸ばすが、大きな身体に阻まれテーブルを下りることすらできなかった。
「ちっ!いきなり暴れだしやがって!!」
「いやっいやっ離してっ!!離せーーっ!!!」
「おい、てめぇっ!見てねぇでそっち押さえろよ!!」
「おかあさっ!!おかっ…あぐっ…」
じたばたと手足を動かし抵抗するシルエの首を、三人目の男が掴みそのまま力任せにテーブルへと叩きつける。
喉を潰されたような痛みにシルエの身体が大きく震えた。そのままひくひくと手足を痙攣させて、はくはくと喘ぐ。
「…っ……ぐっ…げほっ…」
「ほーら、これでいいだろ?」
男の手が首から離れても上手く呼吸が出来ず、苦しげに喉を押さえてシルエが咽た。何とか落ち着けようと、少しだけ横を向き背を丸めて浅い呼吸を繰り返す。
しかし非情な男達は、シルエの呼吸が整うのを待たず彼女に手を伸ばしてきた。
「ひっ…なにっ!?」
「何って…ナニだろ?なぁ?」
「ひひひ…違いねぇ。」
下卑た男達の声。
足元と真横から伸びてきた手はそれぞれ彼女の胸元や腹部の布にかかり、そのまま力任せに引きちぎる。
所々布が肌に食い込む痛みに、シルエが小さく呻いた。
びりびりと布を裂く音が、まるで彼女の悲鳴のようだ。
「見ろよ、なんて白さだ。」
「あぁ、たまんねぇ…。」
「傷一つねぇ…流石化け物だな。」
ごくりと、三方から生唾を飲む音が聞こえた。混乱する頭とは裏腹に異常なまでに研ぎ澄まされたシルエの聴覚がそれらを聞き取る。
両の腕は固く身体を抱きしめ、すらりと伸びた両足は、まるでそこを守るようにぴったりと閉じられていた。
一人の男が彼女の固く閉じた脚にひたりと手を添える。そのしっとりと吸い付くような肌の感触に、男がにやりと目を細めた。
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