DEAREST -another story-
DEAREST -another story-
成人向完結
発行者:穂積
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:DEAREST

公開開始日:2011/06/09
最終更新日:---

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DEAREST -another story- 第6章 闇の記憶 1 *残酷な描写があります
「おかぁ…さ…っ…。」
「…大丈夫、大丈夫よ。」

小さな弟が恐怖にひきつった声でしゃくりあげ、彼とシルエを抱きしめる母の固い声が宥めるように耳元で囁いた。
彼女はシルエと弟の髪に交互にキスを送ると、素早く二人を部屋の隅の大きな籠の中に押し込める。その上に幾重にも布をかけ、坪や荷物を寄せて彼らを隠した。
次いで、子供の物と思われる服や物品を次から次に水瓶の中に沈めていく。

と、ちょうど最後の服を沈め終えた瞬間、入り口付近の氷の壁が大きな音を立てて崩れた。ドカドカと、無粋な足音が家の中に響く。

光の閉ざされた籠の中、今にも叫びだしそうな弟の口を塞いだシルエは、耳を塞ぐように掴んでいた毛布を巻き込んでしっかりと弟を抱きこむと、震える唇を噛み締めて目を閉じた。

「…っ!!…―――――っ!!」
「―――――っ!!」

複数の言い争うような声が聞こえる。
母が幾重にもかけてくれた布や重ねられた物は、外界との音を聞こえにくくしてくれていた。
その母がこれから味わうだろう地獄を思い、シルエの青白くなった頬に幾筋もの涙が伝う。


――――あ゛ぁああぁああっ!!!


しかし布の壁は、母の断末魔の悲鳴だけは遮ってはくれなかった。
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