DEAREST
DEAREST
完結
発行者:穂積
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:DEAREST

公開開始日:2011/06/06
最終更新日:---

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DEAREST 第1章 PROLOGEU
そんな中、唯一人面白そうに周囲を見回す青年が約一名。
言わずと知れたラトである。

「外に出て正解だったな。」

声を弾ませ嬉しげに呟くラト。
必死の形相で走る衛兵にしてみればとんでもないことである。
しかし天罰とはよく言ったもので、ラトが喧騒の中心を追って振り向いた瞬間。

ドカッ


っと、彼の脇腹に見事な肘鉄がめり込んだ。
まさに、人の不幸を面白がる言語道断な神父への天罰が下ったのである。

「ぐぇっ・・・」

非難の言葉に代わり口をついて出たのは蛙のひしゃげたような無様な声だった。
ラトはそのまま地面に膝を突こうとするも、あまりの人の多さによろよろと流されるしかない。しかし、せめて自分にこのような苦痛を与えた犯人の、顔だけでも拝んでやろうと顔を上げ、それを目に入れたとき。

「…っ」

ラトは、自分の周りだけ時が止まったような気がした。

目が離せないとはこういうことを言うんだろう。
そこにいたのは一人の女。
銀の髪、紫の瞳、そして…先のとがった人外の耳。


一目で判る――――人間じゃない。


彼が彼女を茫然と見つめているうちに、背後からガチャガチャという金属の触れあう音と怒号を放つ黒い影が飛び出したかと思うと、彼女の姿はその黒い影、衛兵達に遮られ見えなくなってしまった。




――――――――この日、ラトが町に出なければ、彼女が上手く逃げ切れていれば、彼らの運命はもっと違ったものになっていたのかもしれない―――――
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