DEAREST
DEAREST
完結
発行者:穂積
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:DEAREST

公開開始日:2011/06/06
最終更新日:---

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DEAREST 第8章 SATURDAY
ラトは耳を疑った。
隣りにいたジオも、あまりのことに茫然と神父を見つめていた。
先に我に返ったのはジオだ。

「どういうことですっ!?何故ラトがっ…!?」

隣りで喚き散らすジオの声を茫然と聞きながらラトは唇を噛む。

――――見られていた?

ラトの心に昨夜の情景が浮かぶ。だが自分達は話をしただけだ。

言葉を詰まらせている隙に二人の若者がラトを取り押さえた。それぞれがラトの腕と肩をがっちりと掴み、両の手を無理矢理束ねると残りの一人が縄を掛ける。
背後ではジオがラトの名を叫びながら、どうにか助け出そうと二人の若者に飛びかかっていた。
しかしそれも僅か数分で、駆けつけた別の見習い生に取り押さえられたようだ。
ラトはジオの悲痛な声を聞きながらどうにか逃げ出そうと手首を捻ったが、想像以上に頑丈な縄は外れるどころかラトの肌に傷を付けただけだった。
必死に抵抗するラトを尻目に、神父と三人の若者は彼を引きずりながら移動する。

気付けばそこは独房の入り口だった。



人の気配がする。
ふとラトの顔が浮かんだがすぐに消えた。
見習い神父がこんな朝早くから、しかも今日この日にここへ近づけるはずがない。
シルエは向かってくる気配に息を殺した。どうやら一人ではないらしい。
複数の足音がこちらへ向かってくるのが判った。

「…ここだな。おい化け物!顔を上げろっ!!」

不躾な物言いに一瞬眉をひそめつつも、言われるままに顔を上げる。
その表情はまるで氷のようだった…が、目の前に拘束されている人物を目にした途端、ピクリと眉を寄せる。それだけの表情に抑えられたのは奇跡だった。

「この見習い生を知っているな?」

神父にあるまじき態度で言い放たれた言葉に、しかしシルエは首を縦に振らなかった。その白い面からは一切の表情が消えている。彼女は馬鹿にしたように首を傾げ、笑みを浮かべた。
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