DEAREST
DEAREST
完結
発行者:穂積
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:DEAREST

公開開始日:2011/06/06
最終更新日:---

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DEAREST 第4章 TUESDAY
自室に戻ったラトは昨夜のことを考えていた。
昨夜、独房で会った吸血族。名はシルエとかいったか…。
突き付けられた言葉に、ラトは何も返せなかった。
…命の運命。
彼女は何かの命を奪い生きることは、当たり前のことだと言っていた。
命を奪う、彼らに罪は無く。
世界を知らない、人間が愚かなのだと。










ラトは知っている。
今までヒトがどれだけ罪のない吸血族の命を奪ってきたかを。







ある者は、まだ幼子だった。

空腹に耐えきれず、市場の小さな林檎を盗んだ。
それは売り物にはなりえない処分されるはずだったものだ。
しかし店主は少年の尖った耳を見るなり見回りに来ていた衛兵達につきだした。

少年は三日後檻の中で毒杯を飲まされた。




ある者は母親だった。

我が子を守ろうと、森から数人の青年を追い払うために姿を見せた翌日、その青年達の報告により衛兵達に住処に火を放たれた。
焼けこげた森の一角に残されたのは、僅かな木々と小さな黒い固まりと

それを必死に抱きしめる真っ黒な母と子の死体だった。




ある者は姉妹だった。

人間に攻め滅ぼされた村の生き残りで、山の奥に隠れながら生活していたところを運悪く見つかったらしい。
連れてこられた二人の少女は監禁され、酒に酔った看守に犯されて、

その夜互いの首筋に牙を立てて自殺した。




その日もラトは部屋から出てこなかった。
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