Love Story~斉藤一 
Love Story~斉藤一 
成人向完結アフィリエイトOK
発行者:篠田みどり
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/05/06
最終更新日:---

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
Love Story~斉藤一  第12章 「二人の行き先」
掘っ立て小屋の前で見張りをしていた山崎は、斉藤を見つけるなり軽くお辞儀をした。
「異常はありません。」彼らしい笑顔を見せると、斉藤の耳元で何かをささやいた。
「伊勢谷の方から彼女へ接近しようとしています。仲間から彼女の話を聞いて、興味を持ってしまったようです。」
「そうなると、とても俺たちだけでは守りきれないな・・。」
「ええ・・今、島田さんが彼を密かに追っています。まだこの場所は知られてはいないようですので安心してください。」それだけ言うと山崎は去った。齋藤が部屋に入ってくると、玲奈はふてくされた表情で齋藤を睨んだ。
「どうした?」
「お腹がすいた。」
「食べるものはないのか?」齋藤は辺りを見渡したが、それらしいものは見つからなかった。
「いつもあの酒場でご飯を食べさせてもらっているの。でもこう見張られていたら働きにも、買い物にも行けやしない!飢え死にさせる気?」
「買い物!?ここでか?」齋藤は買い物という言葉に驚いた。玲奈が街に出れば瞬く間に注目をあびるだろう。
「大丈夫よ。いつも・・・」玲奈は黒くて大きな布をまとい、長い髪をその中に隠した。
「こうやって買いに行くの・・・。言葉は喋らなくても、指させば解ってくれるわ・・・・。逃げないからゼッタイに。何か食べさせて。」本当にお腹がすいているようで、その声にはまるで力がなかった。齋藤は黒の布をかぶったその姿を見て、納得したようにこう言った。
「わかった・・・俺も行こう。」

京都の町に出た玲奈は、もう店じまいが始まっているお店の前で、慌てて食材を買いあさった。右足を少しひきずりながら、籠の中にたくさんの果物や野菜を買い込んでいた。こうなると相当重くなってくる。そんなことなど全く気にする様子がない斉藤に、あきれ顔でこういった。
「あのさ・・・普通レディが買い物をした時はさあ、ジェントルマンは買った荷物を持ってくれるんだけど。」玲奈は齋藤に文句を言った。
「俺は日本人だ。」ぶっきらぼうにそう言うと、とっとと歩いて行ってしまった。その歩く速さは普段と変わりはない。玲奈は痛い右足を抱え、しかも籠いっぱいの食材を持ち、早足で歩く斉藤の後ろを必死になってついて行っている。


23
最初 前へ 20212223242526 次へ 最後
ページへ 
TOP