サイド イフェクツ-薬の鎖-
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発行者:てきーら
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/04/25
最終更新日:2012/09/23 14:28

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サイド イフェクツ-薬の鎖- 第10章 DATA10 赤面、そして沈鬱―元モデルの告白―
(……どうしよう…わたしの所為{せい}で…また、……あたしのせいで、あたしのせいで、…また撮影がで中断してしまったわ)
苺夏は洗面台の鏡の前に立ち、陰鬱に陥った自分の心が眼の前の相貌{かお}に表れるのがわかると、泣き崩れるように先程と同じく顔を深く両手で覆って、数分間立ち尽くしたまま微動だにしなかった。突如としてまた襲ってきた“あの感情”が、新人モデルだけに垣間見れる特有の透明な輝きさえ失わせようとしていた。前回は何とか切り抜けられたが、今回ばかりはもう駄目かもしれない、そんな悲観的な想いが俄かに募ってきた。何が起こったのか、どうすればいいのか訳がわからず暫しのあいだ若い女は悶えていた。
((……またくるぞ、きっと…))
((……またくるよ、きっと…))
((……そしてまた顔はあからむんだ、きっと))
(………えっ?……)
(さっきのあの気持ちは本当に何の前触れもなくわたしの胸を掠めたのかしら…いや……いや、違うわ……)
煩悶とした表情で身動きを取れず苦しんでいると、ふと心中の奥底から仄{ほのか}に、男の低い野太い声と若い女のか細い声、そして男か女かはわからないが子供の喋るような甲高い声が続けざまに過{よ}ぎっていった。一瞬耳を疑って、再度それら幻の人声に耳を澄ませようと苺夏は両耳に手を当てたが、もうそれきり何処からも聴こえてくることはなかった。しかし彼ら架空三人の語調は静かであったが、彼女の耳には聢{しか}と聞こえ、現在{いま}の心境を見え透いた一言半句は、とにかく胸を潰される思いであった。若い女は途方に暮れたのか悲嘆雑じりの吐息を大きく漏らした。
(頬が真っ赤に染まってしまうくらい、…恥ずかしい気持ちが、次もまた…、次もまた起こってきたらどうしよう、ホント……)
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