サイド イフェクツ-薬の鎖-
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発行者:てきーら
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/04/25
最終更新日:2012/09/23 14:28

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サイド イフェクツ-薬の鎖- 第10章 DATA10 赤面、そして沈鬱―元モデルの告白―
「……あっ、……もう大丈夫だと思います。……ごめんなさい」
「どっか気分でも悪くなったの?そん時はちゃんと一言伝えてね、撮影のほうは中止するから」
トイレにきちんと入ったふりをするため、苺夏は白い薄手の綿のハンカチをさりげなくポケットに忍ばせながらようやく出てきた。
「すみません。お待たせしましました」
「おぉ、大丈夫かい?」
「口の辺りを片手で覆うような恰好して出て君がいったからさ、今日はもうもしかしたら駄目かと思っちゃったよ」
「あっ、…ホントに……すみませんでした……」
「さっ、それじゃすぐ向こうに戻ろうか」
何事もなかったかのように笑みを作りながら女を少しだけ顧みてそう言うと、日ノ岡はまた一人先に、元いた自分のポジションへと足を運ばせていった。
それからは、撮影のほうはお昼までほとんどこれといった問題もなく順調に進んでいった。休憩はわずか三十分だけしか取れず、すぐに午後の撮影が慌ただしいなか始まった。ろくにお昼の時間が取れなかったのか、カメラマンの口元をよく見ると、橙色をした食べ物の染みかすが唇の端っこのに少しだけべったりと付着しているのがわかった。苺夏はふとそれに気が付くと、クスッとまた失笑を表情に浮かべた。日ノ岡はそれに気付くと、悪戯っぽくおどけたような視線をちょいとだけ投げ掛けた。
「平幡さん、初っ端から長い撮影でごめんねー。本来なら初めてだし少ないカット数で終わるんだけどさー。…でもどうしても事務所が君を推したいっていうし、………まっ、それだけ君は期待されてるってことだよ」
「………えっ、そんな、……私が、……ですか…?」
「そうだよ」
嬉しいような、恥ずかしいような、苺夏は、唇の辺りを片方の小さな白い手で軽く覆い隠し、まさか自分なんかが信じられないという気持ちをすぐ表情{かお}に表した。そんな彼女に対し、カメラマンはまるで恋人でも意識するかのように小さくウインクをすると、再び束になっている資料をぱらぱらと忙{せわ}しそうに捲り出した。
「じゃあ、今度はまた別のポーズを作ってもらおうかな。っていうか苺夏ちゃんホントそのロータスのミニワンピとリネンハット似合ってるよねー。黒川さんが久々のニューホープが来たって言ってただけのことはあるよ、キミ」
「やっぱ、カワイイね」
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