サイド イフェクツ-薬の鎖-
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発行者:てきーら
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/04/25
最終更新日:2012/09/23 14:28

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サイド イフェクツ-薬の鎖- 第10章 DATA10 赤面、そして沈鬱―元モデルの告白―
カメラのあるほうへ素早く廻ると、色黒い肌をしたカメラマンは少年のように無邪気な表情{かお}で破顔一笑して、ジェネレータータイプのストロボを小刻みに暫しのあいだ動かしていた。真正面には丁度、レフ板と呼ばれる銀色の二メートルくらいある円形の大きな板が立て掛けられていた。そして左右には、長方形の形をしたHIDのスタジオライトが、円形のレフ板を中央から端にかけて陽の光のように照らしていた。被写体であるモデルは、このレフ板を背にしてカメラを向けられる。ライトからの光と銀色の円形の板からの二方向の光が被写体であるモデルに反射する事により、常時よりも明るく立体感を伴って見える効果をプロ撮影では利用するのである。
「さあ、それじゃあ、苺夏ちゃん。ライトで照らされているその銀色の円の前に立ってごらん」
「…あっ、…ハ、ハイ……」
粋を帯びて甘く弾むようなカメラマンの声に苺夏は、気弱げにうなずいて表情{かお}を幾分真ん前から逸らしがちにして、光の当たっているレフ板の前まで足弱な子供のようにゆっくりと歩いてきた。
「よーし、そこそこ。おっ、姿勢イイねー。撫で肩のあたりなんかもセクシィだし。色っぽいよ、色っぽい。君、マジで」
日ノ岡は、気障とも受け取れるような甘すぎる声色で、緊張感に包まれている新人モデルを褒めちぎった。若い女のほうも、ここにきてやっと、杏仁豆腐みたいに透き通った白い頬を思わずニッコリとほころばせることができた。
「ぁははは…、何それ、おもしろい」
甘い声とは裏腹に蛮骨そうな真っ黒い顔をしたカメラマンは、彼女によりリラックスして撮影に臨んで貰おうと面{かお}を可笑しく歪ませたり、ちょっとした冗談口を聞かせてあげたりした。張り詰めた胸中の結氷の牙城はなんとかようやく崩れ落ち、モデルデビューをする若い女は両手で唇の辺りを覆い隠すようにして、失笑の声を洩らした。控え目で優婉な雰囲気も併せ持った彼女のそれは、嬌笑と言うべきなのかもしれない。可愛らしく緩んだ目元に釣られたのか、日ノ岡も黒奴のように褐色に焼けた顔を童児のようにしわくちゃにさせながら、声を出して貰い笑いをした。
「よしっ、それじゃあ平幡さん、そろそろ本腰いれましょうか」
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