サイド イフェクツ-薬の鎖-
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発行者:てきーら
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/04/25
最終更新日:2012/09/23 14:28

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サイド イフェクツ-薬の鎖- 第10章 DATA10 赤面、そして沈鬱―元モデルの告白―
になるという事を明かし、そして、初めての為か張り詰めている彼女の気持ちを解きほぐそうとでもするかのように、甘く誘うような声遣いをして伝えた。なにやら饒舌そうな男である。
「さぁてと。じゃあまず右奥の部屋で白のワンピとブラックの中折れハットがあるから着替えてきて欲しいんだ」
「……あっ、ハ、…ハイ……」
「そんなに気を張らせていなくても大丈夫だから」
本格的な撮影に入る前に、奥の控室みたいなところでファッションブランドの衣服を身に纏うのだ。この場面でも苺夏は、相変わらず怯えたような表情{かお}のまま、顎をほんのちょっとだけ下にずらして頷きながら、小さい声で了した。悪怯{わるび}れたみたいような容色{かおつき}のままでいる彼女が少し滑稽に思えたのか、日ノ岡は悪戯っぽい眼睛{めつき}に哀れみの感情を込めて励ますようにに言った。苺夏はそっと、申し訳なさそうに顔を少し朱{あか}く染めながらお辞儀をすると、恥ずかしさのためかやや差し俯きながらゆっくりと、奥の着替えをする控室へと歩いていった。
(大丈夫かな…あのコ……)
カメラマンの日ノ岡は、やはりそわそわとした面持ちを隠せず、控室のドアノブにおずおずと手をかけて入ってゆくまでの様子を訝しげな眼で追っていった。いくらなんでも初めてのプロフェッショナルな撮影とはいえ、あの若い女はあまりにも人見知りし過ぎるきらいがあるじゃないか、と思えてきたからである。ブランドの衣装に着替えを済ませるため奥の部屋にこもってから十分ほどして、今日モデルデビューを果たす女はちょっとだけはにかんだような愛らしい顔をしてカメラマンのもとへと戻ってきた。
「よ、…よろしくお願いします…」
と、苺夏は畏まって深々と頭を下げて挨拶をした。
(少しは落ち着いたかな……)
そして瞬く間に桃色に染まった若い女の頬が幼く感じられたのか、カメラマンはまた悪戯っぽく眼を細めて、
「オッケー。それじゃぼちぼち撮っていこうか」
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