サイド イフェクツ-薬の鎖-
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発行者:てきーら
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/04/25
最終更新日:2012/09/23 14:28

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サイド イフェクツ-薬の鎖- 第10章 DATA10 赤面、そして沈鬱―元モデルの告白―
もともと内気な性格の苺夏は、胸中で既に尻込みをしてしまっていた。カオにもそれがゆっくりと滲み出てくる。
マネージャーが優しい言葉遣いや気の利いたユーモアで緊張感を解きほぐそうとしてくれても、“不安”という感情は最後まで、靄のように脳裏{あたま}にまとわりついて離れなかった。誰でもみな同じだよとかるく考えれば確かにそうだが、しかしこの彼女の場合、その“度合い”のメーターが尋常値を超えていたようであった。
「さあ、それじゃさっそく撮影のほう入ろうか。後は任せてよ、黒川さん」
室内の奥に脚をだらりと投げて座っていた、鴬色のちょっと冴えないニット帽を被っていた三十過ぎくらいの男が、気怠そうにして灰色の椅子から立ち上がり、怯えているような表情{かお}をしてじっとマネージャーの傍に寄り添うようにして突っ立っている苺夏に対し、異性を口説くような気障{きざ}っぽく甘い声で促した。マネージャーの黒川は、了解しましたと言わんばかりに無言でカメラマンらしき男に目配せをして、
「それじゃ苺夏ちゃん、頑張ってね」
口早にそう言い残すと、チーターのように軽い足取りでささっとその場から立ち去っていった。
「平幡さんだっけ。俺、専属カメラマンの日ノ岡っていいます。よろしくねぇ」
スタジオで二人きりになった瞬間、すぐに男は得意気に腕組みをして、ひどく甘くて生温い声で自らを名乗ってきた。そのくせ顔のほうはといえば真っ黒に強く日焼けしていて田舎臭く、お世辞にも二枚目とは言えない容貌であった。
「……あ、…あの、…今日わたしは……」
「撮影内容は聞いてるよね。セクシィワンピ着てファーロシアンハットを被るってやつ。で、今日撮るものはさ、君もよく知ってる、あのVから始まるファッション雑誌に掲載される予定になってるんだ」
「まぁ、楽しんでリラックスしながらやっていこうよ」
苺夏はかなり相好を強張らせながらも、眼の前のカメラマンに何か尋ねようとしたが、か黒い顔の彼はそれに気付くことなく、直ぐさまさらさらと今日行う撮影がとある有名ファッション雑誌の被写体
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