サイド イフェクツ-薬の鎖-
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発行者:てきーら
価格:章別決済
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/04/25
最終更新日:2012/09/23 14:28

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サイド イフェクツ-薬の鎖- 第1章 DATA1 播野医師
「ハハハ。先生、いくら何でも暴食は良くないですよ。まだ平日なんだから」
「いやいや。暴食なんかじゃないよ、常石君。昔からお昼休みには医院の近くにあるマクドばっかり行ってるんでね。すっかり食欲の虜になってしまったよ」
「医者の不養生なんてのにならないように気をつけて下さいね、先生。まだまだ現役なんですから」
朝の行きのタクシーの中で、播野は痩せこけて銀縁の眼鏡を掛けた馴染みの運転手とたわいのない会話を弾ませていた。一見物静かそうな感じであるが、話し出すとほとんど降りるまで舌が回り続けるのであった。
「はい、どうも。お気をつけて」
七時五十分、播野はようやく医院の前の駐車場を降りる。建物の横にあるブナとミズナラの落葉樹が今朝も陽の光を浴びて山吹色に煌めいていた。
「あ~ぁ。今日も患者を相手に同じような一日が始まるのか…」
細長く急な階段を昇りながら、彼はこれから始まる一日が億劫に感じられて、ついぼやいてしまう。
いつもの事であった。それでも診察が始まれば、患者を眼の前にして、誠実そうな穏やかな表情(かお)で接しなければならないのである。心病んでいる者のこれまでの経緯を、まるで自分事のように聞き、そして、その経緯や患者における今の心の状態をパソコンのカルテに打ち込み、最後に患者に見合った最も適した処方箋を出してあげる事だ。口には表さずとも、播野の脳裏には、ペイシャントに対する一連のプロセスは出来上がっている。
(しかしね。そうはいっても……)
(色んな奴が来るからなぁ。メンタルで悩んでる奴っていうのは…………)
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