サイド イフェクツ-薬の鎖-
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発行者:てきーら
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ジャンル:ノンフィクション

公開開始日:2011/04/25
最終更新日:2012/09/23 14:28

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サイド イフェクツ-薬の鎖- 第12章 DATA12 困惑―元モデルの苦悩―
 「ああ。確かに若いといっても千差万別だからね」
 「ああいうタイプは百人に一人、…いや千人に一人、………一万人に一人かもしれないな」
 「えーっ…」
 「……一万人に一人、ですかぁ」
 「まっ、いずれにしてもほんと滅多にお目にかかれない患者だからね。余計にそう感じられるのかもしれない」
 「また来るんですよね、あの子」
 「いいなぁ、先生。可憐な患者さんと対面できて」
 「何言ってんだ、お前。こっちは仕事でやってんだぞ」
 「…あは」
 「わかってますって」
 播野は、野尻を相手に気のない素振りで淡々と喋っていたが、彼女はといえば、おんならしくまさに媚びるような猫撫で声まで出して医師に絡んだ。
 (……何言ってんだ、まったく………)
 (冷やかしにしか聞こえん………)
幸いなことに、休憩室には今誰の姿もなかった。あきれたと言わんばかりに、片手で白髪雑じりの品良く整えた頭を掻きむしる仕草をしながら、再び自身の孤城へと戻っていった。そして又、怠そうに腕組みをして、少しばかり魂の抜けたような索漠とした表情で前を見つめていたが、
 (さて、次に見えるクライアントはさっき待合室にはいないようだったが、………)
 (………トイレにでも入ってるのかな)
 さきほどコピー機の所で手にした、YG薬局からの私情もふんだんに盛り込まれた要望が細々{こまごま}と記載された数枚のファックス用紙をぱらぱらとめくり退屈そうにそれらを眺めながらも、次にこの部屋を訪れるであろう患者の存在が少しずつ気になりだした。五、六分経っても何の音沙汰もないので、播野は仕方なくさっと左手を受話器の方に伸ばして内線を呼んだ。
 「おい、まだか?」
 「…えっ……そぅですね……」
 「!」
 「あっ、先生。今戻ってきたみたいです」
 「わかった」
 播野は、取るに足らない焦躁感や苛立ちをおさえ、小声で受付の野尻と内線で遣り取りを交わしたが、
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