もう1度、会いたかった
第1章 幸樹の秘密
「あ、ありがとな。」
亮二はそう言って、幸樹から1万円を受け取った。幸樹がこくりとうなずいた。
ラブホテルの中…情事の後である。…つまり「援助交際」だ。…男同士だが。
亮二は、アメリカの大学に行く費用を貯金していた。この「援助交際」でもらった金ももちろん、そのまま銀行行きだ。
亮二はベッドから降り、さっさと服を着始めた。
幸樹はまだ裸のままベッドに座った状態で、そんな亮二をぼんやりと見ている。
「先出るよ。また来週頼むな。」
亮二がそう言って幸樹に投げキッスすると、幸樹は顔を赤くしてうなずいた。
亮二はベッドのそばのインターホンを取り、ある番号をプッシュした。
「あ、すいません。1人だけ出ます。」
亮二がそう言うと、受付の女性が「開けます」と言い、ドアの鍵が開く音がした。
「じゃな。」
亮二がそう言って手を振った。幸樹も黙って手を振り返した。
亮二がドアから出て行った。幸樹はまたごそごそとベッドの中に入って、ほっと息をついた。
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