蒼い月、蒼い空
蒼い月、蒼い空
完結
発行者:ヨアケノツキ
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:蒼い月、蒼い空

公開開始日:2011/03/30
最終更新日:---

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蒼い月、蒼い空 第1章 プロローグ
 〈意図せぬ帰還〉

ごぶっ…!
ごほっ!

ぇほっ… げほっ…!

熱い塩水が 目やら鼻やら耳、のどから一気に溢れ出る。

鼻の奥がツーンと痛くて顔をしかめる。

見ると、知らない顔が自分を覗き込むのとかち合った。

中年の見知らぬ男が心配そうに、ぼくを見下ろしている。

男はずぶ濡れで、荒い息を治めつつ、聞いた。

「大丈夫か?」

「…ぁ…」
〈アナタハダレ〉
〈ボクハ… イキテル…?〉

――そう聞きたかったのに、
パクパクと唇を動かす事しか出来ない。

…… ぇ ……

体が 妙に 重い。

ギシギシと体の下で音がする。

木の手漕ぎボートの上、仰向けに寝かされたぼくの下は海…

真上には満天の星空。

――きれい…――

海に入る時には気づかなかった星が、まばゆいばかりに輝いてる…

何かを美しいと感じたのは ずいぶんと久しい感じがした。

「喋らなくていい。無理するな…」

意識を取り戻したぼくを見て、安堵した声でその人は言った。

もう一度意識を手放す前にぼくはぼんやりと考えた。

―死ねなかったんだ…―
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