蒼い月、蒼い空
第1章 プロローグ
〈羽根〉
「殊勝な事だな。やっと俺たちを受け入れようって気になったワケだ?」
二宮が言う。
ぼくは、
自ら進んで両腕を、ヤツの後頭部に回し その唇に自分のを重ねる。
それから
顔を放し、ニッと笑む。
「考えを変えたんだ」
「ふぅーん…」
言いながらも 疑う 顔。
「それじゃ、証明して見せろよ」
言うなり、強い力で突き飛ばされた。
「わかってないなぁ…
嫌がるのを無理矢理ヤるのがイんだろ?
俺たちはなぁ、
天使の羽根をむしりたいだけなんだよ…」
「…なっ!…」
声なき悲鳴を上げて ぼくは… !
「お前ら!何やってるっ!」
突然だった。
ユーマが血相変えて 飛び込んで来た。
その時ぼくは、
二宮に二発程 殴られて、倒れ込んだところで。
「ユーマ?!」
ぼくの声なんか待たないで、ユーマは 入り口の小森をあっという間にノックアウト。
続いて後藤、佐久田の順に いとも容易く拳で倒していく。
それも鮮やかに 淀みなく。
残るは二宮ただ一人。
だが、開き直りか、
落ち着き払って言う。
「おっさんよ、これが見えねぇか?」
二宮が手にした物。
それは、一本の
ナイフだった。
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