蒼い月、蒼い空
第1章 プロローグ
〈連絡〉
『ツライ事があるなら、話すだけでも 少しはラクになるぞ…』
ぼくが浜で倒れた日、ユーマが言ってくれた一言。
だけど。
これだけは知られる訳にはいかない。
彼にだけは、ぼくが男に抱かれて喜ぶ人間だなんて、知られたくない。
けして!
ユーマにだけは絶対に知って欲しくない。
知ったらきっと、彼はぼくの事を軽蔑するに違いない。
いや、彼は人を軽蔑したり見下すような人間じゃない気がする。
ただ…
これまで通りには話せなくなると思う。
その自信なら 確信を持ってあると言える。
けど、
ユーマが心配するから家には連絡を入れた。
捜索願いとか 出てるのかな、と思って。
電話をすると、母が出た。思いきり心配してる声。
『翔なの?今、どこにいるの?!…』
ぼくは答える。
『…大丈夫だから…無事でいるから…』
その時、父が急に電話口に出て、
『翔なのか。お前の顔など見たくない。二度と私の前に顔を見せるな!…』
ぼくは 黙って受話器を置いた。
だって、そうする他 ないじゃないか。
一応、無事は伝えた。
ぼくは まだ 生きてる。
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