歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
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ジャンル:未設定
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/25
最終更新日:2011/03/25 12:27

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歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」 第2章 東方精神の章(仏・密・禅)
 喫茶去(きっさこ)という、禅の
公案がある。去とは去るという意味
ではなく、意味を強調する助詞だと
いう。

「まあ、お茶でも飲んでいきなさい」

という意味である。この普通の言葉
が、趙州(じょうしゅう・778~
836)という中国禅の高僧から発せ
られると、何やら途方もない奥深さ
を感じさせるものとなる。趙州は
相手が誰であろうと、「喫茶去」と
言った。

「諸君、おわかりかな?」

わかってもわからなくても、とり
あえずお茶を飲もう。いやいや、
二日酔いの後がよいかな?

 かくして武家社会に浸透していった
茶の文化は、足利尊氏が登場する頃
には、「茶寄合」や「闘茶」という
流行にまで発展していた。茶寄合は、
茶を喫して連歌を詠み合うという、
穏やかな文化サロンだった。

 だが「闘茶」となると、話は穏
やかではない。闘茶とは、茶の産地
や銘柄を当てるゲームで、その賞品
がすごかった。唐物の茶道具や砂金、
美女などが乱れ飛んだ。闘茶をも
催した中心人物に、婆佐羅(ばさら)
大名と呼ばれた近江守護・佐々木
道誉(どうよ)や、足利尊氏の執事・
高師直(こうのもろなお)などがいる。
鎌倉末から南北朝への大動乱の
時代、明日はどうなるかわから
ない。

「この世は夢ぞ、ただ狂へ」と
ばかりに、派手な享楽を楽しむ
風潮が背景にあった。
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