歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
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シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/25
最終更新日:2011/03/25 12:27

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歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」 第2章 東方精神の章(仏・密・禅)
 般若はやがて、何百人もの翻訳僧・
写経僧を従える中心人物の一人に
なってゆく。「四十巻華厳経」
「守護国界主陀羅尼経十巻」
「大乗理趣六波羅蜜多経十巻」
などが、そのおもな仕事である。
玄奘三蔵や不空三蔵など、当代一流の
翻訳家の誤訳についても指摘するほど、
正確な「伝達」に神経を使っていた。

 般若の訳業は、サンスクリットから
の漢訳であるが、ある時勅命によって
胡本の翻訳を命じられた。胡本とは、
ソグドというイラン系の言語の事で
ある。ソグドとは古代ペルシャ帝国の
一州の名で、ソグディアナ、または
スグダなどとも呼ばれていた。現在の
ウズベク共和国とタジク共和国の
一部の地域で、中心都市はサマルカンド。
ゾロアスター教を信仰していた住民が
仏教に帰依し、胡本経典が数多く
残っていたのである。

 般若は、自分の寺の近くにネスト
リウス派の景教(キリスト教の一派)
寺院・大秦寺があり、中国名・景浄
(本名・アダム=スミス)というイラン人
と交流があったことから、共同作業で
翻訳する事にした。

 景浄がソグド語の「六波羅蜜経」
を漢訳し、般若が校正するわけだが、
内容を見て般若は激怒した。釈迦の
教えが、キリスト(メシア)の教えに
入れ替わっていたからである。内容
の正確な伝承が翻訳の鉄則であるにも
かかわらず、主観的・観念的な解釈で
内容をねじ曲げるキリスト教徒・
景浄のやり方に、我慢がならなかった
のである。この大げんか、徳宗帝の
仲裁で何とかおさまりはしたのだが。
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