歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
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ジャンル:未設定
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/25
最終更新日:2011/03/25 12:27

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歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」 第2章 東方精神の章(仏・密・禅)
 出家した僧には、厳しい戒律
がある。戒律破りは破戒僧。
女犯はその最たるものだった。
だが龍樹は納得していなかった。
龍樹はデカン高原を東に流れる、
クリシュナ川中流域の「鉄塔」
に篭った。インドでは大理石の
ことを白鉄と呼び、大理石造り
の半円塔の僧院を鉄塔と呼んで
いた。龍樹は深い瞑想の中で、
宇宙の普遍的意識である大日
如来と人間の仲介者である
金剛サツタの声を聞いた。

「あらゆる存在は清らかな宇宙
 生命の活動そのものである。
 我々の愛欲や煩悩も、断つ
 べきものではなく宇宙生命の
 発現であり、取り除くもの
 ではなく、制御し浄化される
 べきものである。したがって
 大いなる絶対の安楽の境地で
 ある大楽三昧においては、
 捨つべきものも取るべきいか
 なるものも存しない。」

 龍樹(龍猛菩薩)はその声をこと
ごとく書きとめた。こうして出来
上がったのが大日経と金剛頂経と
いう、密教両部の大経である。
経典の真髄は龍智菩薩から金剛智
三蔵、不空三蔵、恵果阿闍梨を
経て、弘法大師空海へと受け継が
れる。現在も東大寺で読経されて
いる理趣経は、性愛を主題とする
不空訳の経典で、大楽金剛不空
真実三摩耶経。
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