歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
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ジャンル:未設定
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/25
最終更新日:2011/03/25 12:27

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歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」 第2章 東方精神の章(仏・密・禅)
 沙門ゴータマは村人に藁束を
分けてもらい、樹の根元に敷き
詰めて座した。しばらくすると
鳥たちの囀りが気にならない
禅定に入った。透明な光が遍満
する虚空があった。我も無く心
も無い、無我にして無心の状態
だった。

 夕暮れ時に一旦禅定を説いた。
北東方向の平坦な大地の彼方に、
朱色に染まったドゥンゲーシュ
ワリー山の稜線が見えていた。
沙門ゴータマは頭陀袋から、
スジャータが餞別として寄進した
乾燥チーズのひとかけを取り出し、
食しながら目を細めて苦行の山を
見ていた。

─私が今ここにいるのは、母の
 死に縁ってであった─

 沙門ゴータマは苦行を止める
までのプロセスを、母の死を知った
時から順に想起し、次に逆順で想起
した。

「苦行が正か邪か、真か偽か、それ
 は要点ではない。それがバラモン
 の教えであるというのが要点で
 あった。いかなる人もその環境
 から学習して得た価値を拠り所
 として生きている。私は前世に
 おいてバラモン僧であった。だが
 苦行によって悟りは得られずに、
 その生涯を閉じた。その時私は、
 苦行の足らざるを恥じ、後悔の
 念が潜在印象に刻まれた。人生
 は修行であるという信念を魂に
 刻んだまま、この世界へ転生
 してきた。母は約束通り、私に
 修行への道筋を与えてくれた。
 これが縁というものであろう。
 魂に刻まれた潜在印象は、潜在
 形成力という力を備えている。
 これによって人々は、さまざまに
 思考し、行動する。即ち行為と
 してのカルマは周辺の事であり、
 カルマの核は潜在印象という
 思考にあると言える。」
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