歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
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ジャンル:未設定
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/25
最終更新日:2011/03/25 12:27

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歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」 第2章 東方精神の章(仏・密・禅)
 沙門ゴータマの意識は、胸
の奥の中丹田に在った。そこ
には鏡のように静かで透明な
湖面が在った。そこに一粒の
光の水滴がポタリと落ちた。
水面に波紋が広がった。次の
瞬間、湖は虹色に輝き発光
する光球へと変容した。光は
宇宙へと放射されていった。

「アートマン・・・」

 宇宙開闢においては、混沌
たる暗黒の中からブラフマン
が発動する。ブラフマンは自ら
の体から原初の水を生み出し、
水を種に撒く。すると種は太陽
の如く光輝く。ブラフマン神話
は自己の魂・アートマンにおい
ても同じだった。沙門ゴータマ
は歓喜と法悦の境地に在った。
そして醒めた意識は、その光球
が何なのかを直覚し、はっきり
と認識していた。そしてブラフ
マンとアートマンが溶け合った
時、そこに自己=我という意識
は存在しなかった。沙門ゴー
タマの醒めた意識は無我を認識
した。

 翌朝、沙門ゴータマは再び
本格的修行を行うため、セーナ村
から旅立つ事を決意した。世話
になったスジャータに感謝と別れ
を告げると、ドゥンゲーシュ
ワリー山(前正覚山)方向に向か
った。その途上、村人が今なら
ネーランジャラー河が徒歩で渡れ
るという話を聞いて、歩みを止め
た。長年の苦行の地を離れ、新た
なる土地で修行を再開しようと
思った。

 沙門ゴータマはネーランジャ
ラー河を渡って、西岸のウルヴェ
ーラー村に入った。広々とした
黄褐色の土地をしばらく行くと、
深々と大地に根を張った一本の
ビッパラ樹(天竺菩提樹)があった。
見上げるほど高く伸びた枝葉には
鳥たちが姦しく囀り、樹の根元
には涼しい木蔭があった。

「これはよい。ここでよろし
 かろう・・・」
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