歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
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ジャンル:未設定
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/25
最終更新日:2011/03/25 12:27

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歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」 第2章 東方精神の章(仏・密・禅)
鮮明な声はそのひと言で途絶え
た。沙門ゴータマは、なぜか
激しく動揺した。夢幻のような
瞑想状態が解かれ、肉体世界の
顕在意識に引き戻された。心の
動揺はまだ残っていた。

「なぜ?」

 ゴータマは自らの苦行を振り
返り、ふと気がついた。形ある
この肉体を厭い、欲界と色界の
物的な形を離れよと教えてくれ
たのはアーラーラ・カーラーマ
だった。それゆえに苦行を極め
ようとしたのではなかったか。
「そのような教えであったから
・・・」

 そう気がつくと、心の動揺が
収まり、ある種の直感が閃いた。

「そもそも苦行とは・・・
 バラモンの教え・・・」

沙門ゴータマの眼光が鋭くなった。

「そういう事だったのか・・・」

この瞬間、沙門ゴータマは結跏
趺坐を解き、苦行が終わった。


 自力で歩く体力も失っていた
ゴータマは、コンダンニャら
5人の介助を受けて、ネーラン
ジャナー河(尼連禅河)で沐浴
した。布で体を擦ると、古い
皮膚がごっそりと剥がれ落ち
ていった。水を口に含むと、
暗黒の霧が晴れて生命の脈動
が甦ってくるようだった。
空(そら)が青かった。
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