歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
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ジャンル:未設定
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/25
最終更新日:2011/03/25 12:27

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歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」 第2章 東方精神の章(仏・密・禅)
 これに対して死後の体、
いわゆる霊魂を、五蘊とは
異なる集積「異蘊(いうん)」
と表現した。個人的無意識と
集合的無意識が織りなす心
だけの世界=受想行識の世界
で、行は「潜在印象」に変化
する。

「死んで異蘊相続して生ず
 (雑阿含経~仙尼経)」

「異蘊は意生身なり
 (身命経)」

 沙門ゴータマの意識は、
灰色~黒ずんだ煙のような
鈍い光の領域を観照していた。
そこは恐怖の感情に満ち、
霊魂が呻き、叫び、苦悩し、
罪の意識に囚われて脅え、
囚われの身であることに対して
怒り、戦っていた。一般に
地獄と言われる領域だった。

 地獄といっても、閻魔大王
など死者の罪過を裁く神々が
いるわけではない。死者の霊魂
は無意識の信念とでも言うべき
潜在印象に導かれて、自分と
波長が合う領域へ向かうで
ある。例えば戦闘的な魂の場合、
この世界は戦いの場だという
主観的かつ潜在的な印象を
持っている。戦いに勝って
勝利する事が至上命題である。

 その潜在印象によって敵を
設定して憎しみの感情を向け、
競争し、裏切り、傷つけ合い、
殺し合う。敵を威圧し、罵倒
し、より多く殺す事によって、
個人でも集団でも勝利の快楽
を得る。あるいは敗北し、
自分と肉親、友人知人が傷
つき、殺され、生別・死別
する。塗炭の苦しみを味わ
おうとも、魂に刻印された
潜在印象に誘導され、戦い
は終わらない。戦いに耽溺
した霊魂は、修羅の地獄が
延々と続く。
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