歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
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ジャンル:未設定
シリーズ:今昔玉手箱

公開開始日:2011/03/25
最終更新日:2011/03/25 12:27

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歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」 第2章 東方精神の章(仏・密・禅)
 サンスクリット語のディヤーナは
パーリ語のジャーナ。中国でチャン
と呼ばれ、禅という字があてられた。
ディヤーナとは心の働きやマナス
(思考作用)を超え、禅定の静寂の
中に入ることである。思考を超えた
意識のことをチッタという。心を
超えているから無心。無心をトゥ
リーアという。欧米世界はマインド
が人の思考作用を表す唯一の言葉で、
思考を超える言葉も概念も存在しな
い。欧米ではマインドは病むことも
あり、健康であることもあるとする
が、東洋ではマインドそのものが
病であると看破していたのである。

 だが沙門ゴータマには、アーラー
ラ・カーラーマの教説が理解出来
なかった。そうなのかもしれないし、
そうでないのかもしれない。どちら
とも判断がつかなかった。理解
する為にはやはり、肉体を厭う
苦行を重ね、欲を滅し尽くす境地
を体感してみる必要があるようだっ
た。そう思うと心は、アーラーラで
はない師、ここではない何処かを
求めて動き始めた。

 ヴァッジ国の首都ヴァイシャリー
を旅立った沙門ゴータマは、ガン
ダキ川に沿って南下し、ガンジス川
を渡り、マガダ国の首都・ラージャ
グリハに入った。都は王の住居の
意味で王城舎と漢訳される。当時
の王はビンビサーラ。海抜250m
の都はウァイバーラ・ギリ、ウィ
プラ・ギリ、ラトナ・ギリ、チャタ・
ギリ、ソーナ・ギリ、ウダヤ・ギリ
など、標高1200~1482mの
山々に囲まれ、周囲48kmの外壁
と周囲6.2kmの内壁を廻らせて、
外敵に備えていた。

 周囲の山は鉄鉱石を産出し、鉄器
の確保によって軍事力と経済力を
潤沢にしていた。マガダ国はやがて
周囲の国々を次々に征服し、ナンダ
朝を経てマウリア朝を建国。
アショーカ王の時代にインド亜大陸
全域を支配するに至る。当然ながら
隣国のコーサラ国とは敵対関係に
あった。
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