歴史エッセイ集「今昔玉手箱3(東洋文明編)」
第2章 東方精神の章(仏・密・禅)
◎東方精神の章/仏・密・禅
○ゴータマ・シッダールタ<�1>
今から2500年前の紀元前
500年前後という時期、世界
各地に人類の精神史の骨格に
なるような思想が群がり興った。
ギリシャ哲学のピタゴラス・
ヘラクレイトス・タレス・
ソクラテスプラトン。3大
悲劇作家のアイスキュロス・
ソフォクレス・エウリピデス。
ゾロアスター教のゾロアスター。
ユダヤの預言者エレミア・
イザヤ・エゼキエル。中国の
孔子・孟子・老子・荘子。
やマガダ国など十六大国に
分かれ、精神世界もウパニ
シャドの深遠な思想から
唯物論までが混沌として入り
乱れていたが、輪廻転生や
カルマの法則などバラモン
の宇宙観はインドの人々に
深く浸透していた。現在の
ネパールもインド文化圏に
属し、南部タライ平原・
カピラバストゥはシャカ族
の支配地域だった。
シャカ族が何人種なのかは
よくわかっていない。従兄
弟姉妹交互婚という、メソ
ポタミアのシュメール王家
に見られた古い習俗が残って
いることから、シュメール
からインダス文明の流れを
汲む非アーリア系種族なの
ではないかという推測が
ある。
あるいはサカ族の支流では
ないかという説もある。サカ
族とは紀元前6世紀頃から
中央アジアに現れたイラン
系遊牧民族で、中国名「塞
(さい)」。ギリシャ文献で
「海(黒海・カスピ海)の彼方」
で活動していたスキタイを
指す。
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